このお話ははっきりいって暗いです。
受け取る方にとっては、不快な思いをする方もいらっしゃるかも知れません。
内容としては「司の最期」です。
それでも了承して下さった方のみ、お読み下さい。
宜しくお願いいたします。
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俺の愛する子供たち
翼
翔(
紫苑(
その孫たち。
そして――――――――――
この俺が生涯をかけて愛したただひとりの女
つくし・・・・・
今でもおまえを――――――――――愛してる。
永遠(に
「旦那様 翼様がお戻りになりました」
使用人の声で目が覚める。
俺は邸のベッドの上。
今年で82歳を向かえ 体力・気力ともに衰えているのが自分でもわかる。
一昨日も強い発作で倒れた俺。
翼が今のタイミングで帰ってくるということは・・・・・
―――――俺も・・・もう長くはない・・・――――――
道明寺財閥のトップを退いてから もう22年の月日が流れた。
英徳高校を卒業と共にNYへ渡り、向こうの大学へ行きながら
道明寺財閥のトップとなるべく働き、退くまで突っ走ってきた約40年間。
その間につくしと結婚し 3人の子供にも恵まれた。
今ではその子供たちも結婚し
この俺にも 孫が5人もいる。
俺が60歳の誕生日を迎えたとき
早々とトップの座を息子に譲り 俺はつくしと2人で余生を送った。
これは つくしの願いでもあった。
そして その願いを聞いてやることは―――――
いつも傍にいてやれなかった 俺の願いでもあった。
――――――でも
つくしの願いであった余生は たった12年で幕を閉じた。
僅か71歳でこの世を去ったつくし。
最期はこの邸で
このベッドで
微笑むように
息を引き取った。
そして
今度は俺――――――――――
コンコンッと ドアをノックする音の後
ガチャリとドアが開いた。
誰かが静かに入ってきて ベッドの横の椅子に腰掛ける。
顔を横に向けると ニコリと笑った翼が座っていた。
「親父・・・・ただいま」
「おぉ・・翼か・・・忙しいのに・・・悪いな」
「何言ってんだよ。親父らしくもない」
翼(・・・・・・・・・
俺とつくしの間に生まれた初めての子供。
第一子・・・しかも男の子とあって
周りの人間は喜びと共に 更なる道明寺財閥の発展を願った。
この世に生を受けた瞬間から 次期道明寺財閥のトップという宿命を背負うことになった子供。
つくしは・・・・・・
それでも自由に生きられる人間であって欲しいと
子供に 自由に羽ばたく 『 翼 』 という名をプレゼントした。
その名の通り――――――――――
翼は自由に育った。
っと言っても それはあくまのでも"個人の思想"という範囲。
道明寺財閥の跡取りとしての言動は 『 自由 』 というわけには行かなかった。
それでもつくしは 翼の人間らしい思想を とても気に入っていた。
おまけに幼少のころからの英才教育が実を結び
翼は
財閥のトップとしても
一個人としても
申し分ない人間に成長した。
今 翼は道明寺財閥のトップとして 忙しい日々を過ごしている。
わざわざ・・・NYから戻ってきてくれるとは・・・・・
こんな律儀なところは 母親似ってとこか?
「翼・・・・翔はどうしてる?」
「翔? あぁ・・あいつは相変らず飛び回ってるらしいよ?
何でも1週間前は フランスに新しく出店するって言ってたし。
でももうすぐこっちに着くんじゃないかな?」
「そうか・・・相変らずか・・・・。あいつらしいな」
「まったくだよ」
翔(・・・・・・・・・。
俺たちの第2子。
既に長男として 将来 道明寺財閥のトップになる翼とは対照的に
幼い頃から 自由奔放に育ってきた翔。
それでも つくしはやがて 2人が大人になったとき
道明寺財閥の跡継ぎ争いをするのでは・・・と心配していたが
当の本人 翔は 道明寺の名など何とも思っておらず
こちらも その名の通り――――――――――
料理の世界で才能を開花かせ 世界中に店を出すべく翔(け回っている。
その料理ってのが・・・・
つくしの得意だった "ビンボー飯" 中心の和食―――――――
ってのが ちょっと気になるがな。
翔も結局は母親似ってことなのか?
――――――――――バタンッ!!
「お父さん! また倒れたの?!
待ったく・・・無理したらダメだって言ってるじゃないの!!」
・・・・・・紫苑・・・。
「あぁ・・すまないな」
紫苑(・・・・・・・・・。
男2人で どうしても女の子が欲しいという つくしの想いが通じたのか
念願叶って生まれた末娘。
女の子というだけで 目に入れても痛くない。
ただ――――――――――
翼・翔とは違い、どうやら俺の血の方が 多く流れてるんじゃないかと思うほどの
俺似・・・・・。
容姿もそうだが 性格も・・・・・・
正直 厄介だ。
それでも待望の女の子に つくしは手放しで喜んだ。
紫苑という名は 自分の"つくし"という名が雑草だったから
単なる「同じような草の名前」として選んでいたのかと思っていた。
だが――――――――――
後に、この名前の由来は
この喜びをいつまでも忘れないようにと
「追想」「貴方を忘れない」という花言葉だったからつけたのだと―――――
つくしにケリを入れられながら聞いたことを 今でも覚えている。
紫苑は 若くして結婚した。
しかも相手は一般人。
当然 俺は反対したが、俺とつくしの馴れ初めを楯に
強引に話を推し進め、ついには家を出て行ってしまった。
こうと決めたら一歩も引かない――――――――――。
思ったことは 後先考えず即行動――――――――――。
『 間違いなく司の血だね 』
つくしによくそう言われたもんだ。
俺に似た紫苑。
俺がつくしを想い続けたように 紫苑も今の夫
―――――冴えない一般人の男を想い続け、今も幸せに暮らしている。
そして
この憎まれ口は つくし似か?
ばかだな・・・・。
真っ赤な目に 涙なんか溜めやがって――――――
散々 泣き腫らした上に、まだ泣くのか?
相変わらず 嘘が下手だな・・・・・。
夜になると 遅れて翔がやってきた。
それぞれの嫁、夫、孫たちと一緒に ベッドを囲んで夕食をとる。
俺は殆ど食べられないが
周りで楽しそうに食事をする顔を眺めているだけで嬉しい。
ここに――――――――
つくしが居たら どんなにいいだろうか。
――『 司! 一緒に食べよう! 皆で食べると美味しいよ♪ 』――
――――――――――つくし!!!――――――――――
一瞬・・・・・・
テーブルの向こうにつくしが居た気がした。
幻聴か・・・幻覚か・・・・
そんなことは
どうでもいい・・・・・・。
そうだな・・・つくし・・・・
皆で食べる食事は美味しいよな。
俺は・・・・・それをおまえから教わった。
いつも だだっ広いテーブルで1人・・・・
もしくはネーちゃんと2人で食事をとることが殆どだった。
初めておまえの家で飯を食った時は
ビンボーな食事にビックリしたが――――――――――
それも・・・・・今思えば美味かった気がするよ。
つくし・・・・・・・・。
おまえは今 誰かと一緒に飯を食ってるのか?
おまえのことだ。
どうせ 楽しくギャーギャー騒ぎながら食ってんだろ。
俺も・・・・・・
もうすぐそっちへ いけそうだ。
そしたら 俺も仲間に入れてくれよな。
夕食が済んでも なお・・・
子供と孫は 俺の部屋から出て行く気配はない。
もうこの状況で ほぼ決まりだろう。
―――― 俺は・・・やっと、つくしのところへいけるんだ――――
俺は疲れたから1人にしてくれと頼み
全員を部屋から追い出した。
最後に部屋を出て行こうとしていた翔が振り向く。
「明日の朝は 俺がお袋直伝の飯を作るよ」
「・・・・お前が作った飯より つくしの方がいいな・・・」
憎まれ口を叩いた俺に 翔は苦笑いしながら
「まずは俺のを食って それからお袋と比べてくれよ」
と 、部屋を後にした。
ふぅー・・・・・これで静かになった。
眠りにつこうと 俺は目を閉じる。
そういえば昔・・・・・
人は天国に行くとき
自分の好きな年齢を選んで
その時の姿でいけると聞いたことがある。
おまえは・・・・・・
一体 いくつの時の姿でいったんだ?
余生を送っているときか?
それとも 子供達を育てているときか?
あるいは 結婚したとき・・・・、結婚する前・・・・。
高校生の頃か?
まさか俺と出会う前じゃないよな?
俺は――――――――――
高校生のころの姿になっていくよ。
そして――――――――――
もう一度 おまえと出会うんだ。
もし また――――――――――
おまえが俺を嫌だといっても
・・・・・無駄だぜ?
俺はおまえを
どこまででも追いかける。
覚悟しておけよ?
俺は――――――――――
またおまえと会えることを楽しみにしている。
ここはもう飽きた。
少し長くいすぎたよ・・・・。
もう俺を迎えてくれてもいいだろう。
これから行くから―――――――
―――――――おまえの傍に
今度こそ一緒にいよう――――――――――
――――――――――永遠(に
愛してる・・・・・
つくし――――――――――・・・・・・
・・・・・・・・・
―――――――――― チチチッチュン チチチッ――――――
――――――――――ガチャ
「親父ーー 朝だぞ。よく眠れたか? 朝食の準備がで―――――」
・・・・・・・・・・・・・親父・・・?
・・・・・・・・・・・
「そうか・・・・・・・・・
――――――――――お袋の飯を食べにいったんだな・・・・」
「残したりしたら またお袋に怒られるぞ・・・・・」
「少ししたら皆を呼ぶから・・・・・・・
――――――――――ゆっくり食えよ?・・・・親父・・・・・」
――――――――――パタン。
・・・・・・・・・・・・・・
< 道明寺ーーーーーーー!! >
< おうっ 牧野!! >
< ・・・あたしが あんたを幸せにしてあげてもいいよ! >
< 宣戦布告だな?! やってもらおうじゃん!! >
・・・・・・・・・・・・・・
〜 Fin 〜
※あとがき※
暗い話ですいません・・・・。
ちょっと特殊なお話ですが、なんだか急に書きたくなりまして。
司の最期のお話ではありますが、天寿を全うした司は
きっと爽やかな気持ちだったろうと思い、あえて背景も白にしました。
チューリップの花言葉は「永遠の愛」だそうです。