「はぁ〜危なかったぁ〜」



・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ って、おいおい。

危ないってどういう意味よ・・・・・ 



 「はぁ・・・・・・」



無意識に出た自分の言葉に、思わず溜息が漏れた。





プレゼント大作戦 3 〜つくし視点〜





道明寺から掛かってきた電話に反応し、思わずその場から駆け出したあたし。

別に悪いことをしているわけでもないのに

何で 『危ない』 とか思わなくちゃなんないのよ?!



・・・・・・はぁ・・・



道明寺から電話が掛かってきた時、正直言うと少し焦った。

だって・・・・

最近のあいつってば、何でもかんでもあたしに買ってくれようとするしっ。

あしたが店の前で服なんか眺めてたら、絶対買おうとするに決まってる。





・・・・・・ 気持ちは

嬉しいんだけどさ・・・







この前なんて

ちょっと家のベッドに傷がついたーなんて話をしたら

翌日、家具のカタログをどっさり持ってきて・・・




―――― どれがいいんだよ?好きなもん注文しろ ――――




しかも、値段を見てひっくり返った。

ベッド1つでン十万とか、ン百万とか・・・。

そんな高級ベッドじゃ、余計落ち着かないっつーの。






さらにその前も ―――

あたしがちょっと靴が合わなくって靴擦れになった時




―――― 靴が足に合ってねーんだよ ――――




とか何とか言っちゃってさ・・・。

その後いきなり邸に連れて行かれて、何事かと思ったら

オーダーメイドの靴屋さん呼んでるしっ!!

その人に突然、足のサイズを測られて

好みの色やらデザインやらを聞かれたけど

それは丁重にお断りをして、その時はなんとか事なきを得た。



まったく、あのバカ・・・



なんでも勝手に決めて

あたしの気持ちはまるで無視なんだからっ。



・・・・・・・・・



ううん、本当は違うのかも知れない。



・・・あいつの気持ちは嬉しい。

すっごく嬉しい・・。

実際、前にプレゼントを貰った時は本当に嬉しかった。


でも―――


あたしは、あいつと対等でいたいから―――。

あいつに何もかもオンブにダッコになることを

あたしのこの頑固な性格が許してくれない。

本当はもっと素直になって甘えればいいのかも知れない。

道明寺があたしにプレゼントしたがっているのは

もうイヤって言う程、解ってる。

それを素直に受けられないあたし・・・。



そう言えば、ずっと欲しいと思っていたものを

プレゼントしてくれようとした事もあったけ。

だけどさ・・・

大体そういう物は、買うまでの楽しみとか

その為にコツコツ貯金していくとか・・・

手に入れる為に努力してこそ価値があるんじゃないっ。

それを、何の苦労もしないであっさり手に入れてたんじゃ



それこそ―――



 「嬉しくもなんともないってのッ!!」





思わず出てしまった声にはっとする。

すれ違う数人の人たちの視線が痛い。

この・・・ついつい出てしまう独り言も何とかしなくっちゃ・・・

あの道明寺ばかが・・・

あたしの欲しいものをキャッチするのは

半分くらいがこの独り言からと言っても過言じゃないから――――。




















いろんな事を考えながら待ち合わせ場所まで戻ったあたしは

道明寺が言っていたカフェを探した。

えーっと・・・

あっ、あそこか。

あたしはカフェの前まで行くとその扉をそっと押した。



カラン♪ コロン♪



 「いらっしゃいませ」



中へ入ると

上品なコーヒーの香りがあたしを包んだ。

カウンターの中には品の良さそうな初老の紳士。

入り口付近にはコーヒと同じく、上品で落ち着いた雰囲気の女性がエプロンをつけて立っていた。



お好きな席へどうぞと言われて、あたしは入り口と反対側の窓際に腰を下ろした。

注文を取りにきた女性にオススメのコーヒーをお願いする。

女性は 『かしこまりました』 とニッコリ笑って、その場から離れて行った。



暫くすると

サイフォンからコポコポという心地よい音と、コーヒー独特の香りが漂ってきた。

店内に流れるBGMは決して邪魔にならないヴォリュームで店内の雰囲気を和ませる。


さすが道明寺―――。


素敵なお店を知っているなぁーと

あたしは少しだけ、あいつの事を見直していた。





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