「これで全員全滅ってわけか・・・」
総二郎が溜息混じりにそう言って 携帯をテーブルに置いた
忙しい司に気を使い これまで滅多なことでは連絡しなかった俺たち
それなのに 立て続けに俺らから電話がきて・・・・・
いくら鈍いあいつでも こっちに何かあったことくらいは もう気づいてるよな?
あかい糸
act.10
「どうしたんだろうね 司」
珍しく類が司の心配をする
まあ それも今の状況では納得出来るけどな
今まで 俺たちから司に連絡を取ることは滅多になかった
大体はあいつから・・・・しかも 時差のことなどお構いなしで
とんでもない時間に 平然と掛けてくることが殆どだった
そして 掛かってきたかと思えば
用件は やれ 『牧野は元気か』 だの 『牧野が電話に出ねえ』 だの
俺らに関係ないことばかり・・・・
―――― 『たまには おまえから司に電話してやってくれよ』 ――――
いくらそう言っても
”うーん そのうち” とか ”えー やだよ” と言っていた牧野
ここ最近 司からの電話が鳴らなくなって 少し気にはなっていたものの
それは司と牧野が お互いに連絡を取り合っているからだと思っていた
だから大学で会った時も 寝不足だと言った牧野に
―――― 『司と朝まで生電話か?』 ――――
なんて言った訳だけど ――――――――――
あれは 牧野にとっちゃ・・・・
とんでもない大打撃のひと言だったんじゃねえか?
やべえ・・・・・ よな?
「なあ この写真・・・・・ おまえどう思う?」
ひとり 昼間の出来事を思い出し
牧野へ言った言葉を後悔していた俺の腕を そう言いながら総二郎が突く
あらためて確認する2ショットの笑顔
・・・・・どう思うも何も・・・ 司・・・・笑いすぎだ・・・・
「どうって・・・・ 不自然なくらい笑ってるよな 司」
溜息混じりに そう答える
「だよな。 俺もそう思う」
写真をまじまじと見つめる総二郎
そして ――――――――――
「なぁ これ・・・・・ 合成じゃね?」
と 写真を俺に手渡した
・・・・・・ おそらく 3人とも まずそれを思っただろう
合成だ 合成であってほしい
司が笑った顔を ここに埋め込んだ合成写真 ――――――
そう思いたい
でも・・・・・・ たたでさえ 普段から笑わない司だぞ?
あいつのこんな顔を撮る機会があるとも思えない
「合成っつってもなあ・・・・ あいつがここまで笑うことだって滅多にないだろ」
そう言った俺に対し 類が何か大事なことを思い出したかのように
『・・・修正って手もあるよね・・・』 と呟いた
「修正? それもあるけど こんなに自然に出来るもんなのか?」
だってそうだろ?
”司の顔が不自然なくらい笑ってる” って言っても
それは 俺らが見たことないから 不自然なだけであって
写真自体が不自然なわけじゃない
むしろ・・・・すげー綺麗に撮れてると思うくらいだ
「でもまあ 調べてみる価値はあるんじゃねえの?
おい、あきら。 おまえんとこの子会社に印刷関係の会社あったよな?」
「・・・? あぁ、あったかかもな」
「じゃ 調べられるね。 合成か修正か・・・・それとも本物か・・」
「ってことで 宜しく。あきらくん」
「あぁ・・・・」
―――――――――― って えぇ?! 俺かよ?!
・・・・・・・・・・・
結局 こういう役回りはいつも俺なんだよな・・・・・
ぶつぶつ言いながらも 総二郎から写真を受け取る
まあ・・・・ 昼間は牧野に無神経な事 言っちまったし
罪滅ぼしの意味も込めて しっかり調べさせるか
写真を上着に仕舞いこむ
ふっと腕に視線を移すと 時計の針は12時を回っていた
俺らの夜はまだ終わりそうもない
牧野・・・・・・・
あの意地っ張りで素直じゃない 嘘が下手なあいつを
どうフォローするのか
俺たち3人に出来ることは
―――――――――― 何だ?
気がつけば
俺たち3人の顔から笑みは消え
真剣な表情へと変わっていた
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