花と歌 その76(桃の節句)

日本の5節句には、正月7日「七草がゆ」、3月3日「桃の節句」、5月5日「端午の節句」、7月7日「七夕祭り」、9月9日「菊の節句」がある。 みな、源は古代中国に由来する。今日は”桃の節句”。中国では、3月桃の花の咲く頃、川で身を清め不浄を祓う慣わしがあった。日本にはこの慣わしが平安時代に到来し、さらに、紙で人の形を作って身の穢れをその人形(かたしろ)に移し、川に流して厄や災を祓う祭になった。 この風習は、源氏物語の「須磨」でも登場するし、また現在でも奈良の吉野川、鳥取、龍野他全国各地に多く残っている。 古来、日本人の慣わしとして、みそぎや祓いで身を浄めてきた。嫌なことを「水に流す」というのも、この由来らしい。今様の「雛まつり」の起源は平安時代、貴族の子女が、御殿や飾り付けで遊んだ「雛あそび」が始まりとされている。 やがて江戸時代にはいり、庶民の人形遊びと節句が結び付けられた。 我が家には娘はいないが、毎年、この頃になると、押入れから出して、太陽の光を当ててあげている。       (平成19年3月3日)

2年前に描いた雛人形です。 あわせてご笑覧ください。
花と歌その53

和敬清寂

茶道:四規より

和・・・お互い仲良く
敬・・・敬いあって
清・・・心も清らかに
寂・・・何事にも動じない心

<後日談>

ひな祭り 
最近、ギターで童謡を弾いているが、”うれしいひなまつり”がサトウハチローの作詞とは気がつかなかった。 戦後、ハチロー氏が歌謡曲から童謡に専念したころ、離婚直後に引き取った二人の小さなお嬢さんに豪華な雛人形セットをプレゼントしたそうだ。実母と別れて寂しいだろうと思ったのでしょう。 でも、後年、ハチロー氏はこの歌を聞くのが嫌だったそうだ。 理由は2つ在り、1つは2番の歌詞のなかの”お嫁にいらした”という、身内で敬語を使ってしまったことが自分らしくないことだと、2つ目は歌を作った頃、すでに他界してしまった同じ母を持つ姉妹への思いではなかったかと。・・・ 唱歌・童謡物語より。

和敬清寂
2月末ころ、既にリタイアされている会社の大先輩のHさんにこの”桃の節句”の絵をお送りした。 今、歌をどうするか、思案の真最中です、と。 そのときに、頂いたご返事が次の通り。
「お雛さまの絵をじっと見ていてタイトル 「和敬清寂」が浮かんで来ました。和は和え物の和です。二つ以上の味の違った食材を合わせて新しいグッドテイストが出来上がったものが和え物です。新しい味が出てこないものは混ぜ物と云います。二つの食材が互いの固有の味にこだわらず互いに新しい味をだすために敬しあってこそ新しい味が生まれます。これが和敬です。清は心の安らいだ状態。寂は煩悩(言い換えれば人の我侭)の火が消え去った状態。この二人雛を夫婦、恋人に見立てれば、敬しながら二人の違った個性をひとつにして新しい和え物の味を作らねばならない関係です。互いの我侭を主張しあうだけの混ぜ物では必ず別々になります。これが和敬です。新しい味を持つようになった2人は清寂の永続きする人生を送れるでしょう。
頂いたメールを読み終わって、将に是だ。 夫婦、親子、兄弟、友人など人間関係もこの気持ちを持っていれば、思い悩むことは無いだろうに。もっと、広く考えれば、人間と自然との関係もしかりである。桃の節句の絵の右肩に和敬清寂の4文字を入れるのにあまり時間は掛からなかった。 

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