花と歌その54(シンビジウム、ルピナス,アッツザクラ、チューリップ)
寒い日が続いた先週の日曜日の朝、気散じに、近所の”花の美術館”に行った。 美術館の庭の花壇には名残り雪があり、其の中で、寒そうに、パンジーが可愛く咲いているのが印象的であった。 中に入ると、暖かく、正面には真っ白なシンビジュームが鮮やかに咲き誇り、カラフルに沢山の花たちが春がきたことを告げていた。 私にも、やっと待ちに待った春がきたのだという、実感が沸いてきた。 早速、強く印象に残った花の絵を5枚描きました。 そんな、春の花の絵歌をご笑覧ください.(平成17年3月13日)
春の夢 入館すると真正面にこの白い花がある。 香りより、私の純白のドレスを見て欲しいと言ってるかのように、可憐であった。 花言葉は”飾らない心”。 |
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朝露の花 花壇の中に朝露を残し、小さく咲いていた。 ピンクの色合いがまるで、乙女が頬を染めてるような感じであった。 初めて見る名も知れぬ花であったが、本名はアッツザクラ。 花言葉は”愛を待つ” |
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憂きこと忘れん 青空の中、まっすぐ伸びてるこの花を見ると、いやなこと、悩み事を一瞬でも忘れることが出来そうな感じがする。 一昨年旅行した北海道の富良野にはもっと大きなルピナスがあった。 良寛さんの好んで書いた”君看雙眼色 不語似無憂”を思い出す。 |
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総べて是春 時々、何も考えずに、ボケーと花を眺めるのもいいものだなと感じた。花言葉は色によって違う。 赤「恋の告白」 ピンク「愛の芽生」 紫「永遠の愛』 黄色「望みなき愛」 白「失恋」 |
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ファンシーフリル 沢山の種類があると聞いているが、こんな珍しいフリルつきのチューリップがあるとは知らなかった。愚妻曰く、シルクのようなチューリップね。 ”今を一生懸命生きている”可愛い花を見て、感動し、絵歌を描ける喜びを感じている。 |
後日談: アッツザクラ
私が生まれたその年(1943年の春)、米国との戦争で、アッツ島(アラスカの西の島)で2600名以上の日本兵が玉砕をした。 その島に咲いていたこの小さな花がサクラに似ていることから、アッツザクラと呼ばれるようになった。 始めて見たとき、なんとなく寂しい感じがする花であった。 ”名も知れぬ”というのは無名戦死者のことが頭によぎり、また、無言館(信州にある戦没画学生の絵を集めている美術館)と結びついたのだろう。 ”小さき花びら”とはわが子、”頬に紅”は妻、恋人、母、あるいは妹だったろうか。 死の際に、もう一度日本のサクラを見たいという兵士に、看取っている仲間の兵士が傍らに咲いていたこのアッツザクラを見せ、是が日本のサクラだぞと言い、ありがとうといって息を引き取ったのだろう。 私には”朝露”は一粒の涙のように思えた。