花と歌 その36 (ラッパ水仙)

我が家の狭いベランダで、大きな大輪をつけて咲いた日本水仙。 春一番の激しい、風が吹く前に切り花にして、のんびり描いてみた。 白いのが八重咲き水仙で、黄色のが大ラッパ水仙だろうか。 ギリシャ神話では、美少年のナルシススがニンフの一人エコーを騙してしまう。 騙されたエコーは悲しみの余り、森に潜んで、声だけの山彦になってしまう。(なるほど、echoか)。 他のニンフが復讐を企て、ナルシススを湖に誘う。彼はその湖に映る美女を恋する余り、病気になり、その水辺で死んでしまう。そこに咲いた一輪の花が水仙。 水に映った美女は実は自分自身の姿だったという神話だが、私たちはポコちゃんの再来だと信じている。 ベランダでくんくんと花の香を嗅いでいたポコちゃんの姿が思い出されてならない。 のんびりと、春の陽差しを受けながら、八重咲きにつづき、ラッパ水仙を一枚描いてみました。

ラッパ水仙

真民さん 詩集”念ずれば花開く”より  
過去のこと、将来のこと、人間は気にするが、花は今を真剣に生きている。 人間が花にかなわないのはこういうことか。

始知人老不如花
可惜落花君莫掃

岑参

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