花と歌その32(高山の花)

去年の暮れも近い頃だったろうか。 出張先で仕事を終えたあと、久しぶりに、近所の魚の旨い一杯飲み屋に行った。  一人、夕刊ゲンダイを読みながら、ちびちび呑んでいると、いつもいらっしゃる仲居さんから絵葉書を渡された。 見ると、立山連峰の花の特集で、12枚入っていた。 去年の夏に立山にいかれたそうだ。私に呉れるとのこと、びっくりしたが、以前その方に、花が好きということで、絵歌を差し上げたことを思い出した。 今でも大事に飾ってくれてるいるとのこと、そのときのお礼だと。 嬉しかった。 今度その店に行く時は、立山の花を描いて差し上げたいと思いつつ、正月は碁や、雑用に追われ、なかなか描けなかった。 ようやく、時間の余裕ができて、3枚ほど描き上げた。 高山の花なので、なかなか、町では見かけないが、山の好きな方には、馴染みの多い花だと思う。 私自身、山歩きなどする機会があったら、おそらく、出会いがあると思う。 歌は故事や漢詩を入れてみた。 ご笑覧ください。

深山竜胆(みやまりんどう)
根が非常に苦く、熊の胆よりももっと苦いことから、熊よりランクの高い竜の胆の苦さにあてた。 というのが竜胆という名の由来だそうだ。
葉落ちて風起きず、山空しくして花自ずから紅い 陳無己(ちんむき)
ニッコウキスゲ

仲間のキスゲ(黄萓)は夕萓(ゆうすげ)ともいわれ,花の色が黄色く,葉は萓笠を作るカサスゲ(笠萓)に似ているからとか。日光地方に多いということからこの名前になった。
足ることを知る者は富めり 老子

クロユリ
ラジオドラマの”君の名は”で有名になった、恋の花。 最近は町でも見かける。
花発(ひら)けば、風雨多く、人生別離足(み)つ。
花が発けば、風雨がやってくる、とかく人生には別離が多い。
干武陵(うぶりょう) 唐詩選より

トップへ戻る