花と歌その29(憂い)

悩み事、憂い、愁い、人間にはつき物と思っている。 私は何にも悩み事も無いような毎日を送っているが、結構、人知れず、悩んでいることが多い。 ただ、無頓着で、気が変わりやすいので、救われている面もあろうか。 1年半ほど前に描いた薔薇の絵歌と良寛さんの詩を思いだした。もう一度、心を新たにして、ベランダのコスモスに詩を載せてみた。  ”人生いろいろ、薔薇もコスモスたちも♪♪♪”

君看(み)よや雙眼(そうがん)
の色 語らざれば憂い無きに似たり

この2句は良寛和尚の名筆の代表。

さあ、私の二つの眸(ひとみ)を見てくれ。 何一つ憂うことなど無いように見える。 私は誰にも断腸の想いなど語りはしない。 語りつくせないほど、憂いは深いからだ。 しかし、同じく憂いを抱くものが看れば、私の心は分かるはずだ。目と目が合うだけで、語いも交えることなく、すでに志は通じている。 憂いを抱くもの同士だから、この思いを同じにすることができるのだ。 だから君よ、私の双眸の色を見て欲しい。 栗田勇著「良寛入門」より。

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