ヨーロッパの文学
木曜3コマ B2-303教室 *座席を指定する。座席表の通りに着席すること。
2019年度前期 担当教員 谷口栄一
授業概要
【翻訳で読むヨーロッパの古典文学】
ヨーロッパの古典文学をしっかりと読み味わい、ヨーロッパの知的伝統についての理解を深めるとともに、ヨーロッパ文化の多様性・多層性を認識することを目的とする。今学期の講義であつかう作品は、次の4つである。
(1)
ソポクレース『アンティゴネー』(古代ギリシア、紀元前5世紀後半)
(2)
ヘルマン・ボーテ『ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら』(ドイツ、15世紀末)
(3) シラー『ヴィルヘルム・テル』(ドイツ、1804年)
(4) トーマス・マン『ヴェニスに死す』(ドイツ、1912年)
講義形式が主体で、内容(作品全体、わかりにくい部分、日本人にとってとっつきにくい部分)についての注釈的解説をするほか、文化・宗教・社会史的背景や図像学・シンボルなどの常識、作品の成立事情、さらには受容や再解釈・改作の歴史について紹介する。ただし、諸君がきちんと読んでいることをチェックする意味もこめて、それぞれの作品について1度ずつぐらいミニ課題を出し、それを提出してもらう。課題提出のときに、疑問点などを書いてもらったら、授業の中で可能な限りそれに答えられるようにしたい。プリントでもQ&A集を作成し、配付する。
授業の目的
(1)ヨーロッパの古典文学を精確に読み味わう。
(2)ヨーロッパの知的伝統を理解し、西洋の学芸・文化・社会への関心を広げる。
(3)ヨーロッパ文学の常識、今後の人生における学びを深めていくための不可欠な前提となる基礎知識を身につける。
(4)人間・社会に対する深い洞察力を養う。
具体的な達成目標
(1)授業で扱う4つの作品の梗概、いつ問われても口頭もしくは筆記にて説明できるようになっておくこと。
(2)授業で扱う4つの作品を精確に読み解き、作品の背景ならびに批評・解釈の歴史を、それぞれの作品について2000字以上で説明できるようになっておくこと。
(3)(1)(2)をふまえ、4つの作品に対する自分なりの感想や考えを持ち、それぞれの作品について800字以上で語れるようになっておくこと。
講義計画 (★は課題提出日) 4月27日(土)1限に授業を行うので注意すること。6月20日(木)は休講。
@4月11日(木) オリエンティールング、古代ギリシア文学概説
A4月18日(木) ソポクレース『アンティゴネー』を読む(1)★
B4月25日(木) ソポクレース『アンティゴネー』を読む(2)
C4月27日(土) ソポクレース『アンティゴネー』を読む(3)
D5月 9日(木) ヘルマン・ボーテ『ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら』を読む(1)★
E5月16日(木) ヘルマン・ボーテ『ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら』を読む(2)
F5月23日(木) ヘルマン・ボーテ『ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら』を読む(3)
G5月30日(木) 近代ドイツ文学史概説
H6月 6日(木) シラー『ヴィルヘルム・テル』を読む(1)★
I6月13日(木) シラー『ヴィルヘルム・テル』を読む(2)
J6月27日(木) シラー『ヴィルヘルム・テル』を読む(3)
K7月 4日(木) トーマス・マン『ヴェニスに死す』を読む(1)★
L7月11日(木) トーマス・マン
『ヴェニスに死す』を読む(2)
M7月18日(木) トーマス・マン
『ヴェニスに死す』を読む(3)
N7月25日(木) トーマス・マン
『ヴェニスに死す』を読む(4)
6月20日(木)以外に何らかの事情により休講にした場合は、統一補講日もしくは8月1日(木)に補講を実施する。
教科書 以下の4冊すべてを購入すること。生協書籍部で販売中。旧版(古本)は中身が異なるので不可。
@ ソポクレス[中務哲郎訳]『アンティゴネー』(岩波文庫)
A 『ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら』(岩波文庫)
B シラー『ヴィルヘルム・テル』(岩波文庫)
C トオマス・マン『ヴェニスに死す』(岩波文庫)
教科書のほか、授業中に刷り物を配付する。欠席した授業での配付物は、自己責任で対応すること。
自宅学習(予習と復習)
(1)翻訳本(指定教科書)を各自で購入し、授業時に毎回持参すること。予習としては、それぞれの作品を授業で扱うまでにあらかじめ自分で一度読み、プリント(課題)を仕上げておくこと。
(2)授業終了後は授業内容を十分に復習し、作品をもう一度読み直し、期末レポートの作成に備えること。
(授業中に見せたパワポ資料は、学生ポータルの授業支援システムで閲覧できるので、活用されたい。)
参考書
ギリシア悲劇全集 全13巻+別巻(岩波書店)
ギリシア悲劇 全4巻(ちくま文庫)
中村善也:ギリシア悲劇入門(岩波新書)
岡道雄:ギリシア悲劇とラテン文学(岩波書店)
高津春繁:ギリシア・ローマ神話辞典(岩波書店)
藤代幸一訳:ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら (法政大学出版局)
柴田翔: はじめて学ぶドイツ文学史 (ミネルヴァ書房)
藤本淳雄ほか: ドイツ文学史 第二版 (東京大学出版会)
ジークリット・ダム:フリードリヒ・シラーの生涯(同学社)
奥田敏弘:トーマス・マンとクラウス・マン(ナカニシヤ出版)
田村和彦:魔法の山に登る(関西学院大学出版会)
以上はほんの一例であり、ほかにも授業中に紹介する。ただ、文学作品自体を読むことを最重視してほしい。
成績評価
次の1)から3)の合計点による評価。ただし、1)から3)のいずれかが0点であった場合、単位は認定しない。
1)
レポート(40点)
講義で扱った4作品のうちから1作品を選び、授業内容を2000字以上で要約した上で、さらにその作品を読んで感じ考えるところを800字以上で述べる。7月上旬頃に専用の表紙を配付するので、必ずその表紙をつけて綴じて提出すること。手書きの場合はA4原稿用紙(升目のあるもの)を使用すること。ワープロの場合は、40字×40行で、A4の紙に印字すること。提出日は8月1日(木)の予定。提出先は谷口研究室(B3棟5階545号)。提出時に簡単な面談を行う。(ネットからのコピーペーストなどの剽窃は不正行為として扱い失格となる。)
2)
ミニ課題(40点)
4回(各作品1回ずつ)提出してもらう。1回分10点満点。平易な課題だが、作品を読んでいないと書けないようになっている。教室で提出。指定日の授業開始までに提出しないと点はない。ここでは必ずしも「正解」や「模範的な読み」を要求(期待)しているのではなく、自分の読みを紙いっぱいに披露すればよい。(友達の答案を写したと判断される場合は、不正行為として扱い、最終判定において失格となる。)
3)
授業態度査定(20点)
毎回原則として、授業開始時と授業終了時の2回出席をとるが、単純に出席しているだけでは点にならない。授業開始時(12時45分〜12時55分)は、出席管理システムにより、学生証を教室入口の専用端末で読み取ることにより出席チェックをする。また授業終了時に出席票(裏面に、その日の講義において重要だと思った内容を簡単に記入すること)を提出してもらう。遅刻や早退は欠席扱いとする。出席回数が9回未満の者は0点となる。また授業中の授業時間中の無断退室、私語や携帯いじり、内職等に対しては、授業態度点を0点とする。2011年度には内職行為により1名が、また2012年度には携帯いじりにより2名が、それぞれ不合格となった。(机の上にこの授業と関係のない物品を置いている時点で、内職行為と見なすので、そのつもりでいること。)
欠席届
授業を欠席した場合は、必ず欠席届(教務課のホームページより各自でダウンロード)に理由を明記して提出すること。無届の欠席があった場合は、単位の認定をしないことがある。この欠席届を提出しても出席扱いになるわけではないが、医師の診断書(コピー可)や交通機関延着証明書等がある場合にかぎり、何らかの考慮をすることがある。
担当教官との面会について
個人研究室は、B3棟5階545号 谷口研究室。
在室時間= 水曜:11時30分〜12時45分
木曜:12時20分〜12時40分
急な会議などが入ることもあるので、確実に会うには前もってメール等で連絡を。