★形容詞の格変化
付加語形容詞の格変化ですが、文法の教科書の変化表を見ながらでないと正しく変化できない人がかなりいますね。全部で
48通りあるので難しく思うかもしれませんが、実はきわめて単純なものです。定冠詞と不定冠詞の変化が理解できてさえいれば、新しく憶えなければならないことなんて、ごくわずかです。冠詞(類)であれ、付加語形容詞であれ、名詞に冠せられているものの
格変化語尾は名詞の性・数・格を明示するための標識である。ドイツ語の名詞には性と数と格があるが、名詞自体はあまり派手には変化しないので、名詞の前にくっついているものを見て名詞の性・数・格(とくに格)を判断するのである。付加語形容詞の変化は、相補の原理に基づいている。すなわち、
冠詞と協力しながら名詞の性・数・格を明示しているという意味である。形容詞の前に、定冠詞や不定冠詞がついているかどうかで、変化のしかたが変わってくる。①無冠詞の場合 ②定冠詞(類)がある場合 ③不定冠詞がある場合 の3つに変化パターン(変化表)が分かれる。まず次のことを忘れないこと。
名詞の性・数・格を明示するものとして最強のものは定冠詞の変化である!!
その上で、次の変化パターンをマスターしよう。
①形容詞+名詞の場合
形容詞は、定冠詞類(dieserなど)とほぼ同じ変化(ただし男性2格と中性2格は、-en)
解説:名詞の前にあるのが、形容詞だけなのだから、名詞の性・数・格を明示するものは形容詞しかない。
したがって形容詞が最強の定冠詞なみに強く変化する。(このパターンを
強変化という)ちなみに男性2格と中性2格は、名詞に-(e)sがつくため、それだけで2格だとわかる。よって形容詞は次の②なみの弱い語尾になる。
②定冠詞(類)+形容詞+名詞の場合
形容詞の変化語尾は、e か en である。
-eになる5ヶ所(男性1格、女性1・4格、中性1・4格)を覚える。あとはすべて-en。
解説:最強の定冠詞(類)があるので、これが名詞の性・数・格を100%明示してくれる。したがって形容詞は
口調を整える程度の弱い変化でよい。「e(絵)になる5箇所」を正確におぼえる。(このパターンを
弱変化という)③不定冠詞(類)+形容詞+名詞の場合
ⅰ)不定冠詞(類)で語尾が欠落する3ヶ所(虫食いの3ヶ所=男性1格、中性1・4格)では、
無冠詞と同じなので、形容詞は①のパターンで変化(
強い語尾)。ⅱ)それ以外の13ヶ所は、不定冠詞(類)が定冠詞(類)と全く同じ語尾を持ち、格明示機能を
持つので、形容詞は②のパターンで変化(
弱い語尾)。解説:このパターンを
混合変化と呼ぶが、要するに形容詞の変化語尾は強い語尾(冠詞なみ)と弱い語尾(eになる5箇所)の2種類しかないのであって、混合変化はそれを組み合わせたものである。「虫食いの3箇所だけ強い語尾で、あとは全部弱い語尾」
と憶えておけばよい。
こうして見てくると、付加語形容詞の格変化というのは、冠詞の補欠のようなもの。すでに学んだ定冠詞(類)ならびに不定冠詞(類)の変化が理解できておれば、形容詞の変化は実に単純であることがわかるだろう。新しく暗記しなければいけないことといえば、②のパターンの弱い語尾(eになる5箇所)だけである。
①形容詞の強い語尾(強変化)
男性 |
女性 |
中性 |
複数 |
|
1格 |
er |
e |
es |
e |
2格 |
en |
er |
en |
er |
3格 |
em |
er |
em |
en |
4格 |
en |
e |
es |
e |
②形容詞の弱い語尾(弱変化)
男性 |
女性 |
中性 |
複数 |
|
1格 |
e |
e |
e |
en |
2格 |
en |
en |
en |
en |
3格 |
en |
en |
en |
en |
4格 |
en |
e |
e |
en |
③不定冠詞(類)がついているときは、
虫食いの3箇所だけ強い語尾
男性 |
女性 |
中性 |
複数 |
|
1格 |
er |
e |
es |
en |
2格 |
en |
en |
en |
en |
3格 |
en |
en |
en |
en |
4格 |
en |
e |
es |
en |
慣れれば、冠詞と形容詞のついた名詞をパッと見ただけで、性・数・格が即座にわかるようになります。
ちょっと練習してみますか? 性・数と格を言ってみて下さい。答えはずーーーーっと下に小さな文字で書いてあります
1) der junge Mann 2) einem fleißigen Studenten 3) roten Wein 4) einer alten Frau 5) der kleinen Kinder
1)男性単数1格 2)男性単数3格 3)男性単数4格 4)女性単数2格もしくは3格 5)複数2格