義姉のマンションへ行く時に必ず通る小さなケーキ屋さんがあります。「食楽図鑑」という、高知県内のおいしいお店が紹介してある本にも出ていたので、ずーっと気になっていました。やっと口にしたのは何年か経ってからだったと思います。食べての感想は、ズバリ「やさしい味」でした。
出汁もろくに取れずに、自分でもまずいなあと思いながら作っていた味噌汁も、今ではなかなか上手になったし(そりゃあ、毎日作っていればうまくならないとおかしいですよね)、料理の手際もよくなり、レパートリーもそれなりに増え、おばさんとしては成長していると思っています。年に何回かは友人・知人を呼んで手料理でおもてなしをしているのがその証拠、でしょ、おじさん?
一昨年、持ち寄りワイン会をした時のことです。私の料理を食べた人が「やさしい味がしますね」と言ってくれました。本人を前にしてのことですからお世辞だと思いますが、後で「やさしい味ってどういう意味だったんだろうね」とおじさんに尋ねたことがあります。するとおじさん曰く、「褒め言葉だと思うけど、別の見方をしたら、味がはっきりしていないというか、味にパンチがないということかもしれないね。」
それからも何度か「やさしい味ですね」と言われ、その度にどんな味だろうと考えています。ちなみに、おばさんがケーキを食べた時になぜ「やさしい味」と表現したか。それは、最初の一口を食べた瞬間、気持ちが優しくなるような、心がほっとするように感じたからです。
おばさんの料理を食べて「やさしい味」と言ってくれた人達もおばさんと同じように感じてくれてのことだったら、それは間違いなく褒め言葉で、大踊りしたくなるくらい有り難いことです。「おいしいですね」と言われるのももちろん嬉しいけれど、違う言葉で表現された方が喜びは倍増しそうな気がします(これってわがままでしょうかね)。
まだ答えは見つかっていませんが、自分にとっての「やさしい味」は何かを探しながら食事作りに励もうかなと、新年度を迎えおばさんは意を新たにしています。