「おばさん、大変、大変!」
「どうしたの?」
「お隣の○○ちゃんから、年賀状が来ちゅう(来ている)!」
おじさんの言葉に驚いて見てみると、表には漢字と平仮名の混じった丁寧な字で宛名が書いてありました。裏には可愛らしい寅の絵が印刷してあり、その横に「よいお年を」と一言が添えてありました(○○ちゃんは小学三年生です)。
年賀状は元日の大きな楽しみの一つですが、これほどもらって嬉しいと感じた年賀状は初めてかもしれません。歩いて初詣に行き、少々疲れていたのですが、そんな疲れも吹っ飛んで、とても心が温かくなりました。
家を建てると決まった時、おじさんは何か自分で作りたいと思っていたようで、4月下旬から弁当持参で嬉しそうに大工仕事に出かけていきました。その時に、○○ちゃんや近所の子供達から声をかけられたことがきっかけで、挨拶や会話をするようになったようです。
ごくごく密かに行った内覧会にもやってきました(おじさんと約束していたようです)。おばさんはその時が初対面でしたが、人なつこくてすぐに友達になりました。子供達は、おじさんが大工さんで、住むのは別の人だと思っていたらしく、「おじさんとおばさんが住むんだよ」と言うと、「エーーーーッ!」ととても驚いていました。
それからも、顔を合わせると挨拶をしたり、お喋りをしたりと適当にかまってもらっています。近所の子供達は、外でよく遊ぶので、楽しそうな笑い声やはしゃぐ声、時には喧嘩して泣いている声等が聞こえてきます。特に○○ちゃん家は隣なので、家族団欄している声も聞こえてくることがあります。この頃は家族みんなで縄跳びを楽しんでいる光景を見ます。
お金をかけて楽しむことよりも、身近にあるものを利用したり工夫して遊ぶ。近所の大人達とも顔見知りになって人間関係を作る。ひょっとしたら、そんな生活の中から年賀状を出すことを思いついたのかもしれません。
いずれにせよ、「この一枚の年賀状がどれほどの幸せを与えたか、○○ちゃんは知らないだろうな」と思いつつ、翌日おばさん達の年賀状を投函しました。
いい一年になりそうだと思えた元日でした。