検証 満タンにしない節約術

2008年12月20日

先日、行きつけのガソリンスタンドで給油をすると、五千円札で千円以上お釣りがありました。夏頃には一万円札でも千数百円しかお釣りがないこともありましたので、ずいぶん安くなりました(この半年ほどが異常だったのでしょうが)

2週間ほど前に優柔不断な仲間達と忘年会をしていた時のことです。ガソリンが安くなった話から、車の燃料節約のためには満タンにしてはいけないということが話題になりました。車を重くすると燃費が悪くなるので、トランクなどに積みっぱなしにしている不要な荷物は降ろしておく、同様に燃料も満タンにすると50リットルなら40kgくらいになるので、満タンにせずに半タン(タンクに半分くらいのことをこう言うようです)にしたらいいという話です。

それを聞いた若い友人が「あー、そうなんだ」と言うように感心していましたが、70年代のオイルショックの頃には、雑誌の見出しなどにもよく書かれていた記憶があります。今はインターネットにそのように書かれたページが沢山あります。それで、どれくらい節約になるのか考えてみました。

ガソリン車を例に、ものすごく大ざっぱに計算します。車の重量は若干の燃料と運転手も含めて1,000kgとします。ガソリンの比重は便宜上0.8とし、満タンの給油は50gで40kgの増加、半タンならその半分とします。燃費は、給油前の重量1,000kgのときが10km(1gでの走行距離)で、この状態を基準とし、車の重量が増えるに従って一定の割合で燃費が悪くなるとします。またガソリンの価格は一番高かった頃の180円とします。

さて、ここで一番重要なのが重量の増加とそれに伴う燃費の悪化の正確なデータなのですが、それがありませんので適当な割合で計算してみます。まずは40kg重くなると燃費が5%悪くなるとします。つまり10kmだった燃費が9.5kmになるということです。

ここから計算です。500km走るのにどれだけ燃料が必要かで比較します。燃費10の場合は500km÷10ですので、50g必要ということになります。満タンにすると燃費が9.5になるので、500km÷9.5で、約52.63g必要です。余分に2.63g、金額にすると約474円になります。半タンだとその分が節約になるわけです。

何かおかしくないですか。そうです、燃費10というのは給油前のほとんど空の状態なのです。ここでは満タンと半タンの比較ですので、半タンの場合は25g給油することにします。そうすると20kg重くなります。40kgの増加で5%燃費が悪くなることにしているので、20kgなら2.5%悪くなり、燃費は9.75になります。これでもう一度計算すると、半タンの場合は500km÷9.75で、51.28gになります。それでも1.35g、243円の節約となるのです。

先に書いたように大ざっぱな計算ですので、燃料が減っていく場合の細かな燃費の変化は無視して計算しています。しかし満タンと半タンの比較では無視できない変化があります。満タンの車が半分燃料を消費すると残りの燃料は20kgとなり、半タンにした状態と同じになるのです。

実際の走行においては、満タン1回の給油に対して半タンの場合には2回の給油が必要になります。満タンの状態と半タンの状態を比べれば25g分の20kgの差がありますが、下の表のように半タンが2回目の給油をする時には満タンの場合も半分に減っているのでそこからは両者に差がないということです。

ということは、先に計算した243円の節約になるというのも間違いで、実際には前半の部分だけなので、半分の122円の節約ということになります。率にすると、満タンにして500km走るのに必要なガソリン52.63g分の金額、9,473円の122円ですから1.29%となります。ただし、この計算は40kgの重量増で5%の燃費減とした場合なので、この比率が変わってくると節約できる額も変わるということです。


きちんと検証するためには重量増と燃費の関係の正確なデータが必要ということになりますが、もう一つ考えないといけないこともありそうです。この問題は回を改めてもう一度書きたいと思います。

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