こぶ平の九代正蔵襲名に惜しみない拍手を

2006年1月31日

一昨日、高知県民文化ホールで「こぶ平改め九代林家正蔵襲名披露特選落語名人会」があったので聴きに行ってきました。落語は好きなので、たまに東京に行くことがあれば寄席に行ったりもします。何年か前までは、朝日落語会だったと思うのですが、桂米朝が桂ざこば達と一緒に高知に来たこともあったので聴きに行っていました。最近落語が来ないねと言っていたときに今度の落語会を見つけたのです。

「笑点」も大好きで、毎週録画して見ています。その笑点のメンバーである桂歌丸と三遊亭好楽が今度の落語会に来ていました。実を言うと今度のお目当ては正蔵ではなくて歌丸と好楽だったのです。

実を言うと、おばさんから「落語が来るよ」と聞いたときに、「こぶ平かあ、それほど魅力を感じないな」と思ったのです。何年か前に東京の寄席で聴いたはずなのですが、そんなに印象に残っていないし、落語は下手だと思っていました。落語家というよりはテレビのバラエティー番組で芸のなさを売り物にしているぐらいにしか思っていなかったのです。

こぶ平が正蔵を継ぐという記事を見たときに「エー、どうして」と思ったぐらいです。だから、今度の落語会のことを聞いたときもすぐには行こうと思わなかったのです。それでもちょうど何の予定もなかったし、歌丸や好楽も来るので聴きに行くことにしたのです。

会場へ向かう途中で、こぶ平がものすごく勉強をしてちゃんとした噺家になっているということを、おばさんから聞かされました。「ヘー、そうなのか」ぐらいに思って会場に着いたのです。

1時30分に開演、林家種平、三遊亭好楽、桂歌丸で前半が終わり。休憩後の襲名披露口上を聴きながら、それまでに私がこぶ平に対して持っていたイメージを変えなくてはいけないのではと思い始めました。

翁家勝丸の太神楽に続いて、いよいよこぶ平の出番となりました。枕で三平のことや、古典落語をきちんとやろうと思って桂枝雀に習ったことなどの話を聴きながら、違うと思いました。

まず声が違いました。堂々としているというか、とても安定感がありました。演目は「子はかすがい」でしたが、間の取り方や人物の演じ分けというのでしょうか、「上手い」と思いました。話の情景がよく伝わってきて、グッと引き込まれる思いがしたのです。

演じ終わってお辞儀をし、座布団をはずしてからもう一度お辞儀をしたまま、幕が下りきるまでの数十秒間に、鳴りやまぬ拍手の中で私の胸の中を色々な思いが駆けめぐりました。

こぶ平を見下していたことに恥じるとともに、こぶ平が九代正蔵を継ぐ意味に納得し、こぶ平の努力に惜しみない拍手を送りました。

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