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城間松明大綱引
 1944年、戦禍激しくなる時代に途絶えた大綱引きですが、1995年に商店街が中心になり復活したものを地域活性化の一環として町内会(城間自治会)が引き継ぎ今日に至ったそうです。
 当日は昼過ぎの「道ジュネー」から始まり、夕方には「空手演舞」「てーびー太鼓」、そして「子ども綱引き」を経て、旗スガシー・ガーエーと続きます。我々が到着した午後8時頃は、「陽飛」「城」の二本の旗頭のガーエーの真っ最中。集落を「前村渠〈メンダカリ〉・後村渠〈シンダカリ〉」の二つに分けて競わせる。
 その後、大綱が路上に引き出されると「シタク」の開始。さて「シタク」とは?(「仕度」ですかね。)子ども会副会長の女の子が「護佐丸」に扮し、「その家来」に扮した女の子が「放送係」だそうです。これがメンダカリ。一方シンダカリは肩書き
は聞き落としましたが、同じ小学六年生の女の子が「阿麻和利とその家来」に扮しています。それぞれが大人8人ぐらいに担がれた「輿」の上に、凛々しい武者姿ですくっと立っています。雌綱雄綱がにらみ合った先頭にそれぞれの輿が到着すると、長刀を振りかざし立ち回りを演じます。
 さて、「シタク」が終わり、いよいよ綱引きの本番!
 シンダカリの二連勝で幕!いやー翌日まで二の腕や太ももの痛みが消えませんでした。綱引き直後などは痛みというより、ちゃんと歩けないほど膝がガクガクしっぱなし。えっ? そうです、私たちも参加させて頂きました。戴いた資料によると、昔は松明〈テービー〉で、綱も引かずに見物する「不埒者」を追い回したそうです。
 こうなると世上に名高い「与那原の大綱引き」にも参加したくなるのが人情というものですね……


 以下の文章は、当日いただいたパンフレットを採録したものです。

城間テービー大綱引き
(城間自治会・松明大綱引き保存会「第13回城間松明大綱引」04.10.16より)


 綱は、雌雄それぞれ本綱の約10間(18m)、胴回り約6尺(1.8m)、技綱10数本貫棒9尺(2.8m)、という大綱で当時400戸近い世帯数を抱えた城間ならではの見事な大綱であった。
 綱引きは、毎年旧暦の6月25日(カシチー)に行われ、当時、10番組まで分けられていた部落を前村渠(〈メンダカリ〉3・7・8・9・10の各組)後村渠(〈シンダカリ〉1・2・4・5・6の各組)に二分し、その力の対決という形成で行われていた。
 夜空を焦がす松明の下でくりひろげられる大綱引きに子どもから大人まで熱狂し、部落あげての一大行事は「テービー大綱」として、近郊にまで鳴り響いていた。当日は、朝から子ども達がドラガネやジョウグ、太鼓を打ちならしながら部落内を廻り歩き気勢をあげていた。
 綱の材料となるワラは各戸から二束ずつ徴収され、当日の午後、青年達によって前村渠は「マーチヌサチ」で雌綱、後村渠は「ウスクヌニー」で雄綱がそって前村長は「マーチヌサチ」で雄綱、後村長は「ウスクヌニー」で雄綱がそれぞれ作られた。綱が完成するのは深夜になり、双方の綱が完成すると青年たちによって、綱引き場である「城間中道」に勇ましい掛け声と共に運び込まれてきた。綱が貴口の「ナーカヌメー」まで運び込まれると、「ハーイヤ」の合図の下に貴棒が差し込まれ、直ちに大綱引が始められた。
 城間の綱引きは、「松明大綱」と呼ばれるほど無数の松明がつけられたが、この松明は、5月初めころ山原竹溜地に入れ塩を抜き、6月ころそれを乾かし束ね松明を作り準備していて、当日は日が落ちると、この松明が無数に綱の廻りや道仲の木々の間に取り付けられ、煌々と綱引き場を照らし出していた。
 また、青年達が松明をもって綱引き場を廻り、綱を引かないで見物している男には、松明をつきつけたりしたので、他部落から見に行くのは怖かったという話もある。
 綱引きが始まると、女達は各組別に円陣を作り、パーランクーを乱打して、「アングァー踊り」を狂踊し、意気に燃える「ガーエー」と称する綱引き唄の悪口歌合戦が行われるとともに、綱引きの雰囲気は最高潮に達した。
 綱引きは一回勝負で行われたが、大綱であったためなかなか勝負がつかず、東の空が白んでくるころまで引き続けられ、「夜明綱」の異称もつけられている程であった。
 そして、勝負がつかないことから、最後には青年達の喧嘩闘争にまで発展することも少なくなかったようで、このことも綱引き行事を廃止した一因になったといわれている。
 現在の綱引きは、平成4年にサンパーク通り会が中小商業活性化事業のにぎわい創出事業として、50年ぶりに復活させ、平成7年に城間自治会が引き継ぎ、平成9年には伝統文化を継承し、区民相互の融和と発展のため城間松明大綱引保存会が設立された。

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