春よ来い

「三寒四温」、「冴え返る」などの季語のあるこの時節。気候はまだまだ定めがたいけれど、スーパーに春野菜を見かけるようになりました。若布など海藻も今は一年中ありますが、旬は春ですね。

 本当は器を梅文様で揃えたかったのですが、間に合わなくて。
ごくふだんの日曜のお昼の写真になってしまいました。

 手前の七寸皿、独活と浅蜊の炒め物の下には染付で海老が二匹描いてあります。紅梅碗に雪間にやっと見つけた水芹とヒジキの胡麻和え。手前の紅梅くみ出し茶碗に、モズクの酢の物。よくみえませんが、たらの芽天麩羅が入っています。たらの芽は買ったものです、このあたりの山はまだまだ冬景色です。
 それでも木々の芽は大分膨らんできています。暖かい地方ではそろそろ梅の花も咲きだすころなのかもしれません。春のさきぶれの梅の花は嬉しいものですね。さくらの妖艶さはないけれど、白梅は枯れ寂びた枝に映えて気品がありますし、紅梅はかわいいですし、自分の年齢が行くほど段々好きになってきました。

 いかにも東洋の花という印象の梅。万葉時代には中国から到来したばかりで流行の花だったのですからねー。大宰少弐小野老の歌

 あをによし奈良のみやこは咲く花のにほふがごとく今盛りなり

 この歌の「花」も梅のことだろうといわれているそうですね。そおなのかな〜。「にほふ」はたんなる匂いばかりではなくて花の生命の耀きや色香のようなものも指すと高校の古文でならったきがしますけど。素人のイメージとしては奈良八重桜の咲き誇る、丹塗りの柱のお寺の建ち並ぶ奈良の都のイメージですけどね。
 現代の俳句の世界で「花」といえば桜のことですが、古今集の時代だと、梅なのか桜なのか判然としない歌も多く、鶯が添えてあるから梅と解る、というのもけっこうあります。梅と鶯の取り合わせも判別の指標としてがっちりむすびついたのかもしれませんね。

 雨音や梅待ちて梅描きちらし おるか