俳句と、やきものと、季節の話題のサイトです。花や鳥のこと、染付、色絵、赤絵の四季折々の器のことなど、ごゆっくりどうぞ。「うつわ歳時記」は、2001年4月1日に開始しました。「今月の表紙」は毎月第一月曜日に、「工房より」は毎月曜日に更新します。 石川県加賀市 橋本薫(おるか)、橋本俊和(オットセイ)

うつわ歳時記

 


 八月一日。俳句ではすでに晩夏もその果て、立秋間近です。とはいえ暑さも極まるこの頃、風の音に耳を澄まして秋風めいた音色を聞き取ろうとしても、セミの声ばかりが、やたらかまびすしい。

 写真手前の色絵染付撫子中皿にホタテ貝とミニエリンギのスパゲッティ。その左上、染付蓮の花向付けには、ローストビーフ、タルタルソース添え。この向付けは絵替わりで蓮の花弁をデザイン化したもののほか、蓮池、蓮見船など描いたりしています。

 中央の小鉢は文様が良く見えませんが、これも色絵染付の蓮池紋様です。中身は食用のお花のサラダです。そのほかはトマトとゴルゴンゾラ・チーズにアスパラのオープン・サンドイッチ。サンドイッチは、パンがおいしければ中身は適当でもおいしいですよね。隣町までひとっ走りして買ってきました。メティサージュの焼き立てパンです。その向こうの菩提樹の箱に入った昔ながらのパンも。   

 八月は蓮の花の季節です。お料理には使えませんでしたが石川県はレンコンの名産地。お隣の福井県は蓮の花の産地です。お盆のお花用の蓮の花。福井県の花蓮公園に行ったのは、もうずいぶん昔のことです。園内はさすがに、様々な品種の蓮の花きれいな池に植えられてそれはそれでもちろんけっこうでしたが、公園を出れば一面の蓮田です。切り取られるのを待つ蕾が揺れて、蓮の葉を風が鳴らして、そちらの眺めが、絶景でした。

 そして、レンコンは大好きな食材です。どのくらい好きかというと、てんぷらの中で何が一番好きかと言ったら蓮根の天婦羅と答えると言ったらお分かりいただけるでしょうか。ともかく、煮しめでも、酢蓮でも、すりおろしてしんじょでもみなおいしいですよね。

 蓮はかくのごとく、花良し、葉よし、根っこ良しの私にとってパーフェクトな存在ですが、一つ残念なことがあります。それは、その実をいまだ食べたことがない、ということ。生食できるそうです。聞いたところによると、胚子は苦いけどそこを取り除けば、仄かに淡い薄緑の味がするとのこと。

 

 昔々のことですが、上野公園を散歩していたら、池の蓮の実がパチンと音を立てて飛んだんです。「ハスの実がはぜた!」と思ったけど、私の思い込みでしょうか。池に入って拾ってみるわけにもいかず、通り過ぎてしまったけど。なにかつたえたいことがあったのかな、蓮の実よ。

 

 

       敗蓮に敗蓮触るる音のして    おるか

2016年8月1日