製作年度:2012年 アメリカ映画 配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
出演:ジェイミー・フォックス クリストフ・ヴァルツ 監督:クエンティン・タランティーノ
2013年3月 映画館にて鑑賞
先日行われた米アカデミー賞で、脚本賞、クリストフ・ヴァルツが助演男優賞を獲得したタランティーノ監督最新作を早速鑑賞した。タランティーノ作品がアカデミー賞候補に挙がってくるようになるとは時代を感じる。タランティーノ監督は私の中では「おもしろい映画」というよりは「おもしろそうな映画」を作る人なのである。ここがポイントで実際の完成作品を観ると好きじゃないことが多いのだが、新作映画の予告、レンタル屋の裏ジャケを観るとこれは絶対に楽しいのではないかと思わせるパワーがある。全然好きじゃないわーとか言って。なんだかんだで、「ジャッキーブラウン」「キル・ビル」「イングロリアル・バスターズ」、「ホステル」なども劇場でわざわざ観てしまっている。いつもは予告が本編を上まわるのだが「ジャンゴ」は本編も良作であった。
内容はジェイミー・フォックス扮する黒人奴隷の主人公がクリストフ・ヴァルツ演じる賞金稼ぎに助けられ、奥さんを奪還するために、白人を撃ち殺しまくるというという異色のマカロニ風ウェスタン劇。上映時間は「続・夕陽のガンマン」を超える165分とかなり長め。話にしてみれば、3兄弟を見つけた後、奥さんを取り戻すだけと90分でも足りそうなのだが…たっぷり使う。だがテンポもいいし、ブラックユーモアが随所に入るので割と退屈しないし、なんといっても出演陣の熱い掛け合いから目が離せない。クリストフはもちろんのこと、サミュ・L・ジャクソン、レオ様から間抜けな端役まで毎度のことながらキャラのバランス設定が絶妙で性格付けがうまい。L・ジャクソンのいやらしさもいいし、元天才子役のレオナルド・ディカプリオの器用っぷりを再確認できる。ジャンルのチョイスも「今更、西部劇か?」と思っていたがタランティーノと西部劇との相性はいい。終盤まで悪役レオ様と腹を探り合う駆け引きをさんざん積み上げておいて、「今回は珍しく話合いで解決か?」と思いきや最後の最後でご破算銃撃戦にしてしまうところがまたタランティーノっぽい。がちょっとアクションが大味で蛇足感はあった。