日野 守♂   一見おとなしくて優しそうな雰囲気。だけど、言う事はきつい。自分は頭良いと思っている節がある。 台詞数:37


津久井 祐次♂ 能天気で明るい男の子。良い奴だけど、どこか抜けてる。 台詞数:36





麻田 梢♀   明るい子。優しくて他人を気遣うのが好き。 台詞数:23












            跳ね回る風の下で


エピソードその2『好きにすればいいんじゃないの』








授業の合間の休み時間。祐次は机にぐったりと倒れながら声をかけた。



1 祐次 「お前さ、一緒にバスケ部こね?」
2 「やだ」
3 祐次 「じゃあ野球部」
4 「嫌だ」
5 祐次 「じゃ、サッカー部」
6 「だから行かないって」
7 祐次 「んだよ。どこがいいんだよ?」
8 「どこも何も、突然なんなの……?」
9 祐次 「せっかくだから、同じ部活やんね?」
10 「何がせっかくか分からないし」
11 祐次 「そりゃまあ、せっかくはせっかくだよ」
12 「ま、いいけどさ。どれもやだよ」
13 祐次 「そっか……」
14 「ん?」
15 祐次 「いやな、どの部活にしようか迷っててよ」
16 「それで?」
17 祐次 「じゃあ、お前が行きたいってとこにするかなってな」
18 「はあ……っていうかそんないい加減に決めないでよ」
19 祐次 「そうは言ってもなー、入ろうと思ってたとこがちょっと違っててなぁ」
20 「好きなのやればいいでしょ」
21 祐次 「好きだから悩むんだろー。まったく、守のそういうとこ羨ましいぜ」
22 「??」
23 祐次 「ま、いっか。別に入んなくてもいいし。で、お前はもう決めてたりすんの?」
24 「んー、特には無いかな」
25 祐次 「おー……守が悩んでるなんて珍しいな」
26 「え? 僕が悩んでる?」
27 祐次 「違うのか? いつものお前だったら、無いねってズバッと言い切るだろ」
28 「……えぇ、そうだっけ?」
29 祐次 「なあ? そうだよな、麻田」





通りかかった梢は突然声を掛けられ慌てて振り返る。



30 「へっ? あたし?」
31 「そうらしいよ」
32 「ごめん、突然で全然聞いてなかった。何?」
33 祐次 「守っていつも断言してるイメージしない?」
34 「え? そう言われても、日野君とそんなに話したわけじゃないし」
35 祐次 「でも、お前ら昨日部活見に行ってただろ」
36 「うん、まあそうだけどね……ま、いいか。ええと、日野君ね」
37 祐次 「そうそう」
38 「そうかもね、結構容赦無い感じよね」
39 祐次 「だよなー。こいつ性格きついよな」
40 「……」
41 「あ、もしかして怒ってる? ごめんね?」
42 「いや――」
43 祐次 「大丈夫大丈夫、守はそんな怒ったりしねえって」
44 「……なんで津久井君が答えてるの?」
45 祐次 「あれ? 怒ってる?」
46 「まあ、怒ってないけど」
47 「……だ、大丈夫?」
48 「うん」
49 「そう。でもごめんね。ちょっと言い過ぎたかも」
50 「いいよ。まあ、間違ってはいないんだろうし」
51 「んー、でもね。日野君って先輩にも怯まないからちょっと驚いた」
52 「先輩って……あの人が変な人だったから、ついね」
53 「まあ、ねえ。ちょっと変わった人だったし」
54 祐次 「……おい、何の話だよ?」
55 「なんでもないよ」
56 「なんでもなくないでしょ……。あのね、昨日日野君と一緒に部活見学行ったのよ」
57 祐次 「どこに?」
58 「どく・・・なんだっけ?あれ」
59 「読書部でいいでしょ」
60 「そっか。で、その読書部の会長って人がかなりおかしい人なの」
61 祐次 「会長? 部なのに?」
62 「自分ではそう言ってたよ」
63 祐次 「そりゃあ確かに変わってんなぁ」
64 「でね、日野君ったらいつもみたいにズバズバっと突っ込むんだもんねぇ」
65 祐次 「守には先輩も何も関係無いよな」
66 「ついでに教師もね」
67 祐次 「少しは手加減してやれよ。で、お前らそこに入んの?」
68 「いや、たぶん入らないよ。僕はね」
69 「あたしも、どうかな。ソフトボール部と悩んでるのよねー」
70 祐次 「おっ、ソフトボールか。俺も入ろうかな」
71 「いやいや、女子のだから」
72 「麻田さん読書部興味あるの?」
73 「だって、楽しそうにしてたからさ。いつもあんな感じならいいなあって。ボランティアみたいなことにも興味あるし」
74 「まあ、あの人達は楽しそうだったよね……」
75 祐次 「そんなに楽しそうならお前も入りゃいいじゃねえか」
76 「そこが楽しくても僕が楽しいと限らないでしょ」
77 「あぁ……まあ、そうかもね」
78 祐次 「いや、絶対楽しいと思うぞ。だって、お前と話しててつまんなそうだったか?」
79 「あー、凄く仲良さげだったわね」
80 「あの人はいつもあんな感じでしょ」
81 祐次 「まあ、あんまり強がるなよ」
82 「……」
83 祐次 「あ? どうした?」
84 「それさ、その会長にも言われたんだよね」
85 祐次 「だって、お前強がってんじゃん。実際に強いけど」
86 「え、強いって日野君が?」
87 祐次 「ああ、俺こいつに敵わねえもん」
88 「へえ……」
89 「信じないでいいから。ってそんな不思議そうな顔しないでよ」
90 「ご、ごめん」
91 「……」
92 祐次 「どうした?」
93 「いや、なんでもないよ。それじゃ席戻るね」
94 「やっぱり怒っちゃったのかしら……」
95 祐次 「そんな事無いだろ。平気だって」





自分の席に座って守はため息をついた



96 「……まったく。好き勝手言ってくれるよねぇ」