声劇用台本/流れる季節の中で

 








笹山 唯♀ おとなしい子。感情がすぐ表に出る。慌てやすい。


麻田 梢♀ 明るい子。優しくて他人を気遣うのが好き。


鈴木美希♀ 明るくて元気のいい女の子。声が大きめ。一人称は自分の名前。









        第八話 『軽い気持ちで答えたら』









1 美希 「唯ちゃん、箸が止まってるよー?」
2 「どしたの、唯? おなか空いてないの?」
3 「え? ああ、ううん」
4 「悩み事? ってわけでもなさそうね」
5 「うん。考え事……かな?」
6 「考え事?」
7 「ちょっと……落ち着いて勉強できる場所ないかな、って」
8 「そうねえ、図書館あたりかな」
9 「うーん、図書館はちょっと……」
10 美希 「美希は自分の部屋が一番落ち着くよー」
11 「まあ、確かに自分の部屋一番落ち着くけど……」
12 美希 「落ち着きすぎて眠くなっちゃうんだよねー」
13 「あたしは部屋がキレイになるタイプだけどね。まあ、同じようなもんね」
14 「そっかぁ」
15 美希 「唯ちゃんは、自分の部屋嫌いなの?」
16 「え? えと、一人なら落ち着くんだけどね」
17 「んー? 勉強会でもする気?」
18 「えと、勉強会ってほどでもないけど……いい場所ないかなって考えてたの」
19 「ちょっと狭いけど、あたしの部屋で良いなら使ってもいいけど?」
20 「えぇ!? そんな悪いよっ」
21 「悪くなんかないってば。うち、うるさいこと言わないし」
22 「うーん……」
23 「遠慮なんていいから」
24 美希 「そうだよー、梢ちゃん漫画たーくさん持ってるから楽しいし」
25 「……勉強しに来るんだってば」
26 「あのね、やっぱりいいよ」
27 美希 「えー? 遠慮なんかいいのにー」
28 「それあたしのセリフだから。でも、唯、遠慮なんてホントにいいんだからね」
29 「ううん、ありがとう」
30 美希 「ファミレスじゃだめなの? あそこなら何時間でも居れるよ」
31 「へえ……あ、でも、それは、恥ずかしいから……駄目だよ」
32 「ふうん、そっか。あたしはよくやるんだけどな」
33 美希 「美希もよく行くよ。あ、梢ちゃん今度一緒に行こうねっ」
34 「今度ね、今度」
35 美希 「楽しみだねーっ」
36 「とっても楽しみだわー……で、どうするの唯?」
37 「んー……」
38 美希 「なんでそんなに悩むのかなー?」
39 「ん、まあ唯が良いなら唯の家はどう?」
40 「え!っ? え? わ、私の家?」
41 「あれ、そんなに驚くとは思わなかったよ。まずかった?」
42 「あ、の、その、まずくは……ないけど」
43 美希 「……ねーねー、梢ちゃん」
44 「何?」
45 美希 「梢ちゃんさぁ……勘違いしてない?」
46 「何をよ?」
47 美希 「えっとねー、なんて言えばいいのかなー?」
48 「あたしに訊かないでよ」
49 「うーん……やっぱり私の部屋かなぁ」
50 「まあ、唯がそれで良いならあたしは構わないわよ」
51 美希 「ま、いっかー。唯ちゃん頑張ってね」
52 「う、うん。頑張ってみるよ」
53 「何もそんな悩む話じゃないと思うんだけどね」
54 「そうなのかな」
55 美希 「そうなのかなー?」
56 「何よ、二人して。変ねぇ」
57 「……あっ、私先に教室戻るね」
58 美希 「どしたのー?」
59 「プリント集めないといけなかったの」
60 「そういや日直だったっけ。手伝おうか?」
61 「ううん、大丈夫……んしょ……じゃあねっ」
62 美希 「じゃあねー」
63 「こけるんじゃないわよー」






64 美希 「唯ちゃんも大胆だねー」
65 「大胆?」
66 美希 「だってだってー、自分の部屋に男の子呼ぶんだよー?」
67 「は? 何言ってん……って、あー!」
68 美希 「あははは、やっぱり勘違いしてたんだねーっ」
69 「うわぁ……やっちゃったなぁ」
70 美希 「どうなるか楽しみだねーっ」
71 「全然楽しみじゃないわよ。にしても西沢君何やってんだか」
72 美希 「積極的だよねーっ」
73 「回りくどい誘い方してるのが気に入らないんだけどね」
74 美希 「そうなのかな? 唯ちゃんもなんか楽しそうだったよ」
75 「でも、こういうのを女の子にやらせるってのは、だらしないわよ」
76 美希 「楽しければ良いと思うんだけどなー?」
77 「それも、そうだけど……。まあ、後で西沢君捕まえるか」
78 美希 「いじめちゃだめだよー?」
79 「なんでそうなるのよっ。まったく……」






80 「私の部屋かぁ……西沢君来てくれるかな……」

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