第五報:VC++の便利な機能
このHPもとうとう一周年です。最近宣伝し始めたばっかりなのであんまり一周年という気もしませんが、一周年には違いありません。これからもどうぞよろしくお願いします。
今回はVC++6.0の便利な操作について話したいと思います。特に、初心者が知っておくといいようなことを中心に話していきます。VC++5.0以下でも使えるかどうかは保証しませんが、簡単なところなら大体使えると思います。
先ず、ショートカットキーについてです。
アプリケーションでよく使う操作には、普通ショートカットキーが割り当てられています。これに慣れればマウスを使うより数十倍能率が上がります。覚えるのが面倒と思うかもしれませんが、キーはある程度連想しやすいようなものになっていて、そんなに困ることはありません。
VC++にももちろん色々なショートカットキーが割り当てられています。よく使うものには次のようなものがあります。
ショートカットキー | 機能 | 覚え方 |
---|---|---|
Ctrl + C | コピー | Copy の C |
Ctrl + X | 切り取り | C の左隣 |
Ctrl + V | ペースト | C の右隣 |
Ctrl + A | 全て選択 | All の A |
Ctrl + Z | 元に戻す(アンドゥ) | C の2つ左 |
Ctrl + Shift + Z | やり直し(アンドゥ取り消し) | Shift を加えると逆動作になる |
Ctrl + Y | やり直し(アンドゥ取り消し) | アルファベット順で Z の1つ前 |
Ctrl + N | ファイルの新規作成 | New の N |
Ctrl + S | ファイルの保存 | Save の S |
Ctrl + O | ファイルを開く | Open の O |
Ctrl + F | 検索 | Find の F |
F3 | 次を検索 | Windows一般に共通 |
Ctrl + H | 置換 | F の2つ右 |
Ctrl + F4 | サブウィンドウを閉じる | MDIアプリケーション一般に共通 |
Ctrl + Tab | 次のサブウィンドウに移動 | MDIアプリケーション一般に共通 |
Ctrl + Shift + Tab | 前のサブウィンドウに移動 | Shift を加えると逆動作になる |
Alt + Tab | 次のアプリケーションに移動 | Windows一般に共通 |
Alt + Shift + Tab | 前のアプリケーションに移動 | Shift を加えると逆動作になる |
F7 | ビルド | 特になし |
Ctrl + F7 | 単独コンパイル | Ctrl + ビルドのショートカットキー |
F5 | デバッグ実行 | 特になし |
Shift + F5 | デバッグの中止 | Shift を加えると逆動作になる |
Ctrl + F5 | 実行 | Ctrl + デバッグ実行のショートカットキー |
F4 | エラー行、複数検索の検索位置を表示 | 特になし |
Shift + F4 | 前のエラー行、複数検索の検索位置を表示 | Shift を加えると逆動作になる |
F1 | ヘルプ | F1 はヘルプ用のキーとしてよく使われる |
F9 | ブレークポイントの設定/解除 | 特になし |
Ctrl + F9 | ブレークポイントの無効化/有効化 | Ctrl + ブレークポイントの設定 |
Ctrl + Shift + F9 | ブレークポイントの全解除 | Shift + ブレークポイントの無効化 |
F10 | ステップオーバー | F10、F11 がデバッグ実行用のキー |
F11 | ステップイン | ステップオーバーと別のキー |
Shift + F11 | ステップアウト | Shift を加えると逆動作になる |
Alt + F7 | プロジェクトの設定 | 特になし |
Ctrl + E | 対となるカッコの位置へ飛ぶ | 特になし |
Ctrl + Shift + E | カッコで囲まれた部分を選択 | Ctrl + E の機能に選択 (Shift) を加える |
これだけ覚えておけばかなり便利だと思います。特にコピー、切り取り、ペーストはVC++に限らずいろいろなところで使えるので、ぜひ覚えておいて下さい。
こうやってみると量が多いように見えますが、Ctrl + 機能名の頭文字、Shift を押すと逆動作というのがかなりあるので、そういった連想、関連づけをすれば覚える量は半減します。
また、何も選択していないときにコピーをすると、その行全部をコピーしてくれます。活用しましょう。
次はエディタでの便利な操作についてです。
先ず、基本は Shift を押しながら移動すると選択でき、Ctrl を押しながら操作すると特別な動作になるというところにあります。どうなるかを表にまとめてみました。中にはキーボードとマウスを組み合わせて使うようなものもあります。
操作 | 機能 |
---|---|
Shift + 移動 | 選択 |
Ctrl + ← or → | トークン(語)単位で移動 |
Ctrl + Shift + ← or → | トークン(語)単位で選択 |
Ctrl + ↑ or ↓ | 画面をスクロール |
Shift を押しながらクリック | カーソル位置からクリック位置までを選択 |
Ctrl を押しながらクリック | そこにあるトークン(語)単位を選択 |
ダブルクリック | そこにあるトークン(語)単位を選択 |
Ctrl を押しながらマウスで選択 | トークン(語)単位で選択 |
左端にある余白をクリック | その行を選択 |
こういった操作ができると、迅速にプログラムが組めるようになります。ぜひ身につけましょう。
次はインテリセンスです。
インテリセンスは色々な情報を自動的に、または手動で表示してくれる機能です。「単語入力候補」「パラメータヒント」「メンバ自動表示」「型情報ヒント」の4つです。
先ず、単語入力候補です。単語入力候補は名前を補完してくれる機能です。変数、関数名の先頭数文字を打って Ctrl + Space を押すと、自動的に残りを表示してくれます。いくつも候補があるときは選択ウィンドウが表示されます。
選択ウィンドウが表示されているまま文字を打っていくと、目的の語に近づいていくでしょう。近くに来れば目的の語をカーソルキーで選択し、あとはリターンキーかカッコ、コンマ、スペースなどを入力すればその語が一気に表示されます。
ただし、マクロは単語入力候補の対象外です。マクロ名は自分で打つしかありません。
次は、パラメータヒントです。これは、関数の初めのカッコを書いたときに、関数のプロトタイプが表示されるというものです。
しかし、これは一旦カーソルを別なところに持っていくと消えてしまいます。そういうときは、Ctrl + Shift + Space を押すともう一度表示されます。
次は、メンバ自動表示です。クラス、構造体などの実体の後に . や -> を正しく入力する、またはクラス名の後にアクセス解決演算子を入力すると、メンバの一覧が表示されます。表示されるのがメンバだけだということ以外は、単語入力候補と一緒です。
やはり一旦カーソルを別なところに持っていくと消えてしまいます。そういうときは、Ctrl + Alt + T でもう一度表示されます。
最後は、型情報ヒントです。型情報ヒントは変数、関数の型情報を表示する機能です。目的の単語の上にカーソルを持っていき Ctrl + T を押すと、その単語の型情報が表示されます。
この型情報では、typedef されたものはその元になった型を表示します。関数では呼び出し規約も表示されます(呼び出し規約についてはヘルプを参照して下さい)。
インテリセンスでは以上4つの機能が利用できます。
残念ながらインテリセンスはまだ発展途上です。いきなりインテリセンスが効かなくなることがあります。いまいち法則性が分からないのですが、そうなってしまったらあきらめるしかありません。プロジェクトを再ロードするとまた使えるようになるかもしれません。VC++7以降ではこのバグが直っていることを願いましょう。
次は、ブラウザ情報です。
変数、関数、型、マクロなど、様々な名前がどこでどうやって定義されているかを知りたいときがあると思います。そういうときはその名前の上で F12 もしくはショートカットメニューの「〜の定義位置」を押してみて下さい。その定義位置を表示することができます。
ただ、これはデフォルトの設定ではできません。F12 を押したときに出てくるダイアログで「設定を変えて再ビルドしますか?」の問いに「はい」と答えればいいのですが、あらかじめプロジェクトの設定を変えておくのもいいでしょう。
この設定は2ヶ所です。1ヶ所は「C/C++」タブの「ブラウザ情報を生成する」で、もう1ヶ所は「ブラウザ情報」タブの「ブラウザ情報ファイルの生成」です。あらかじめ両方設定しておけば、再ビルドの手間を省くことができます。
また、このことから分かるとおり、この機能は一度コンパイルしないと使えないのです。そして、コンパイル後にソースを編集すると、そのあたりにある定義は正しい位置を表示してくれないことがあります。そういうときはまたコンパイルして下さい。
そして、Shift + F12 もしくはショートカットメニューの「〜の参照位置」を押すと、その名前が使われた位置を表示できます。Ctrl + Num+(テンキーの + )、 Ctrl + Num-(テンキーの - )で、次の、前の位置を表示できます。Ctrl + Num*(テンキーの * )で先頭に戻ります。
ノートパソコンなど、テンキーの使いにくいときは、「ジャンプ (Ctrl + G)」を使って移動できます。「定義」を選択し、「ジャンプ」「前」ボタンを押せば飛ぶことができます。
この「〜の参照位置」は、関数だと大抵は一番初めに関数のプロトタイプを表示してくれます。これ用の機能として利用したのでも構いませんね。
最後は、その他の細かい機能について話します。
先ずは、タブキーの利用法です。
1行全体を選択するか、複数行にわたって選択するかした状態でタブキーを押すと、それらの行のそれぞれの先頭にタブが挿入されます。逆にShift + タブだと先頭のタブが取り除かれます。
結構便利なので活用してみて下さい。
次は、ファイルから検索です。
「編集」の「ファイルから検索」を選ぶと、ソースファイル全部を使って検索することができます。正確には、あるフォルダにあるファイル全部を使って検索します。
検索位置は F4 を押していくと順次表示されていきます。Shift + F4 にすると前のを表示します。
このとき、いろいろやっていて「アウトプット」ウィンドウに「ビルド」などが表示されても、「ファイルから検索」を表示し直せばまた F4 で検索位置を表示していけます。また、同じように「ビルド」を表示し直せば F4 はエラー行の表示になります。
次は、タブ←→空白の変換です。
例えばソースを掲示板に書き込みたいとします。しかし、掲示板はタブが効かないのが普通です。大体はタブを空白に変換しておくときちんと表示されるのですが、これを手動でするのも面倒です。
そこで、「編集」→「高度な操作」に「選択範囲のタブを解除」というのがあります。タブを解除したいところを選択しこれを行えば、その範囲のタブが全部空白に置き換わります。
元に戻すときは「選択範囲にタブを設定」でもできますが、「元に戻す (Ctrl + Z)」の方が速いでしょう。
次は、カスタマイズです。
ツールバーまたはメニューを右クリックすると、どのツールバーを表示するかを選択するメニューが表示されます。その一番下に「カスタマイズ」というのがあると思います。
ここでは、メニュー、ツールバーをカスタマイズすることができます。メニューやツールバーを自分の好きなように作り替えることが出きるのです。また、自分用の特別なツールバーを作ることも、ショートカットキーを設定することもできます。
自分用のツールバーを作れば、よく使う機能全てを1本のツールバーに置くことができます。デフォルトのツールバーを使っていると余計な機能がくっついてきて邪魔です。それを解消することが出きるのです。
使い方は簡単です。先ず「ツールバー」タブを選択し、「新規」ボタンを押します。そして名前を入力すると新しいツールバーができます。後は「コマンド」タブから使いたい機能をドラッグアンドドロップすれば終わりです。
他のバーから項目を移動することもできます。このとき Ctrl キーを押しながらだとコピーになります。
最後は、オプションです。
ここではいろいろなオプションが設定できます。「ワークスペース」の「起動時に前回のワークスペースを開く」は設定しておくと便利でしょう。
そして、「書式」オプションはよく使うかもしれません。非常に細かい色指定、フォント指定ができます。デフォルトの色が気に入らなかった場合、フォントサイズをもっと大きく/小さくしたい場合などには、ここを変えるといいでしょう。
これだけ使えれば、だいぶ便利になるでしょう。他にもいろいろ便利な機能があるので、それは随時自分で調べてみて下さい。
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