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38.シーソーゲームの序盤戦

先制点はPL学園

1回裏、PLの攻撃――。
市岡のピッチャーは2年生の小林。
緊張からか、3つのフォアボールで1死満塁のいきなりのビッグチャンス。
しかし得点が入ったのは、5番・出井のダブルプレー崩れによる1点のみ。
先制はしたものの、優位に試合を進めるには物足りない点差だった。

2回表に逆転される展開に

直後の2回表――。
今度は逆にヒットとフォアボールで2死満塁のピンチ。
前田の調子はあまりよくないみたいだ。
ここで市岡の主将、1番・神垣に2点タイムリーを打たれ、逆転を許してしまった。
「前田、楽にいけ! 守ったるから! 落ち着け!」
マウンドに向かって、そう声をかけずにはいられなかった。

2回裏にPLが再逆転

1点ビハインドになった2回裏――。
先頭打者の7番・浦田がツーベースヒットを放ち、追撃の狼煙を上げた。
1死後、9番・早川のタイムリーツーベースが飛び出し、これで同点
続く1番・渡辺が、レフトへ勝ち越しのツーランホームランをたたき込み、あっという間に2点のリードを奪った。
「いける、いけるでっ!」
俄然ベンチも盛り上がった。
ここで、市岡のピッチャーはエース井上に代わった。
この時点では、完全にPLが試合の主導権を手にしたものと思われた。

4回表にエース降板で同点

しかし、依然として先発前田の制球が定まらない。
4回表の途中、ヒットとフォアボールでランナーをためたところで降板。センターの守備位置についた。
2番手としてマウンドに上がったのは嘉戸
火消し役を期待されたが、勢いづいた市岡の流れは止められず、井上のタイムリー、続く伊藤には押し出しのフォアボールをあたえ、2点を失い同点とされた。
試合はふりだしに戻ってしまった。

4回裏を終わって4対4の同点

4回裏のPLの攻撃――。
追いつかれた直後だけに、すぐに勝ち越し点を奪いたかったが、無得点。徐々に重苦しい空気が、ベンチ全体に広がっていった。
このような展開では、次の1点をどちらが先に取るかが非常に重要になってくる。
試合の主導権をにぎるのはどちらか、全く予断を許さない展開だった。

39章につづく

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