独断的JAZZ批評 856.

MARC PERRENOUD TRIO
スタンダードのアレンジに非凡なものを感じさせる
"TWO LOST CHURCHES"
MARC PERRENOUD(p), MARCO MULLER(b), CYRIL REGAMEY(ds)
2011年6月 スタジオ録音 (DOUBLE MOON : DMCHR 7 1095)


MARC PERRENOUDのアルバムは5年前の正月に聴いて以来だ。
そのアルバム"LOGO"(JAZZ批評 524.)は若者らしい外連味のない、そして、自己主張のある演奏が印象に残っている。スタンダード・ナンバーやカバー曲のアレンジに独特なものがあったと記憶している。
メンバーは前回と同じ。このグループ、既に次のアルバム"VESTRY LAMENTO"も発表済みで、後は入荷を待つだけなのだが、一向に入荷しない。かれこれ4ヶ月も待っている。このアルバムがなかなか入荷しないので、業を煮やしてひとつ前の本アルバムをゲットした次第。
本題に戻そう、このPERRENOUDはスイス人だ。現在、33歳になった(録音当時は30歳)。さて、どんな風に成長しているだろうか?
AとGがスタンダード・ナンバーで、これ以外はPERRENOUDのオリジナル。

@"BIG ROPE" 少々大仰なイントロで始まる。ドラムスがドタバタと耳につく。
A"AUTUMN LEAVES" 
以前のアルバムでもスタンダード・ナンバーにアレンジの冴えをみせていた。この「枯葉」も多ビートの展開でアレンジが面白い。このイントロを聴きながら"CARAVAN"が始まるのではないかと思った。
B"TWO LOST CHURCHES" 
アルバム・タイトル曲のこの曲は意味深で、沈鬱なバラードの趣。
C"GOSPEL" ありきたりの8ビートで面白みに欠ける。
D"SWISSWALK" 
超高速の4ビート。指はよく動いて速いパッセージも難なく弾いているけど、無機質な感じがして味気ない。
E"MANTAS PLAYGROUND" 
オリジナルの演奏にきらりとするものが見えない。テーマ自体もつまらないので、こんなにオリジナルに固執することはないのにと思ったりする。これも沈鬱なバラード。
F"CORBIN DRIVE" 
これではオリジナル全滅だ。何故、これほどオリジナルにこだわるのだろう?
G"YOU'D BE SO NICE TO COME HOME TO" 
この有名スタンダードは軽快なラテン・タッチ。なかなか洒落ているね。このグループ、スタンダードのアレンジに独特な味付けを施して面白い。オリジナルよりスタンダードの数を増やしてほしいと思うほどだ。

前作"LOGO"では全9曲のうちスタンダードが2曲とMILESのカバー曲が2曲あって、アルバムのバランスが取れていた。
本アルバムは全8曲で40分弱と少々録音時間が短い。しかもスタンダードが2曲。もう1〜2曲、スタンダードかカバー曲を入れて50分程度の録音時間にしても良かった。何しろ、スタンダードのアレンジに非凡なものを感じさせるので、つまらないオリジナルを聴かせられるより、それの方が余程有難みがあるというものだ。   (2014.03.02)

試聴サイト : http://www.marcperrenoud.com/twolostchurches.html
          このサイトでは全曲、フルに試聴できる!



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