独断的JAZZ批評 797.

BEKA GOCHIASHVILI
いやあ、驚いた!
もう、脱帽だね・・・
"BEKA GOCHIASHVILI"
BEKA GOCHIASHVILI(p, Wurly),NATALIA KUTATELADZE(vo), STANLEY CLARKE(b), JOHN PATITUCCI(b), VICTOR BAILEY(b, el-b), BEN WILLIAMS(b), LENNY WHITE(ds), RICHIE BARSHAY(ds), TOM GUARNA(g, el-g), WALLACE RONEY(tp), JALEEL SHAW(as), BEN SOLOMON(ts)
2012年3,5月 スタジオ録音 (EXITUS
)

グルジア出身の16歳のピアニストのアルバムのために集めたメンバーが凄すぎる!ベースだけみても、STANLEY CLARKE、 JOHN PATITUCCI、 VICTOR BAILEYに BEN WILLIAMSだもの。勿論、曲によって弾き分けているのだけど、これだけのメンツを集めたというだけでこの16歳の凄さが分かるってものだ。
トリオから8人編成まで、手を変え品を変えて楽しませてくれる。中には、ストリングス入りの曲もあるし、ヴォーカル入りもある。
これは楽しめる!


@"UN GRAN ABRAZO" アルトサックスとパーカッションの入ったセクステット。
A"FOR KEITH" 
ギターの入ったカルテット。今や飛ぶ鳥を落とす勢いのWILLIAMSのアコースティック・ベースには艶というか色気があっていいね。実は4日後にWILLIAMSの生ベースを聴きに行く予約を入れてある。これは楽しみ。
B"NEW YORK" 
2管クインテット。CLARKEのウォーキング・ベースが躍動する。
C"SONG TO NINIKO" 
アルトの入ったクインテット。
D"CHICKNSTAN" 
トリオ。CLARKEが40年前にRETURN TO FOREVERの一員として来日した時はアコースティック・ベースの弦が引き千切れそうだった。というのは、今や昔。ここではアンプの増幅をたっぷりと効かせ、まるでエレキベースのような音色にガックリ。
E"HERIO BICHEBO" 
NATALIAのヴォーカルがフィーチャーされているこの曲ではストリングスが加わった8人編成。哀愁を帯びた佳曲。CLARKEのベースが切ない。
F"COCO" 
ドラムレス・トリオ。BEKAのオリジナル。なんて楽しい曲を書くんだ!作曲のセンスも非凡だ。ノリノリの1曲。WILLIAMSのベースが良く歌っている。もう、最高!
G"PASSIONATELY IN LOVE" 
ギターとエレベのカルテット。
H"MADE OF TENDERNESS" 
ギターの入ったカルテット。BAILEYのアコースティック・ベースは打楽器を思わせるアタック感の強い弾き方で、これはこれで魅力的だ。.このBAILEYはWEATHER REPORTのジャコパスの後釜としても活躍したが、どちらかと言えば、本職はエレベの方だろう。ネットを検索してもアコースティック・ベースを抱えた写真はほとんどない。エレベばかりだ。
I"L'S BOP" 
トリオ。PATITUCCIのベースは、確かに上手いとは思うけどけどテクニックに走る分、無機質な印象を与えてしまうね。
J"WHEN ALMONDS BOLOSSOMED" 
(ヴォーカルと言うよりは)ヴォイス+カルテット。BAILEYのアタック感の強い打楽器のようなベース・ワークが素晴らしい!
K"EXIT TO THE WEST"
 アルトの入ったクインテット。BEKAは電気ピアノを弾いている。

驚くべきことに、ここには16歳の姿はない。むしろ、歌心溢れる一流ミュージシャンの匂いすらする。僕は「間」を持っていることこそ一流ジャズ・ピアニストの証だと思っているのだが、既に、それを備えていることが驚きでもあった。
全12曲、色々な編成の演奏を楽しむことができる。ベースは4人が1曲ごとに一人ずつが分担している。それぞれが個性豊かで面白い。
このアルバムを通して、陰ながら重要なポイントを押さえているのはギターのTOM GUARNAだ。オーソドックスではあるが奇を衒わず献身的な演奏に好感が持てる。このギターリストなくてこの傑作は生まれなかった!
このアルバムを聴くときはピアニストの年齢を一時的に忘れるべきだね。16歳だとなめてかかってはいけない。これは相当の凄腕ピアニストであるし、コンポーザーでもあり、アレンジャーでもある。
いやあ、驚いた!もう、脱帽だね・・・ということで、「manaの厳選"PIANO & α"」に追加した。   (2013.03.30)

試聴サイト : http://www.youtube.com/watch?v=KMBfnu0SoAg
        
参考までにYouTubeからGOCHIASHVILIのピアノ・トリオの演奏を紹介しておこう。ベースには僕がべた惚れのBEN WILLIAMSが参加している。スタンダード・ナンバー"NEARNESS OF YOU"をたっぷりと堪能いただきたい。僕はこの演奏を聴いてぶっ飛んだ!

参考サイト : http://www.youtube.com/watch?v=gdtvP13aB5k 



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