独断的JAZZ批評 745.

MANABU OHISHI
わずか限定50枚のうちの1枚をゲットできたのはラッキーとしか言いようがない
"REQUIEM Dedicated to CECIL MONROE"
大石 学(p)
2011年11月 月下草舎ライヴ録音 (月下草舎RECORD : GEKKA0001)


大石学の新しいアルバムがリリースされているのをFacebookの友達からの情報で知った。探してみたら、本当にささやかなって感じでネット販売されていた。もちろん、amazonにもHMVにも見当たらなかった。実にマイナーな扱いなのだけど、届いたアルバムは素晴らしかった。
このアルバムはタイトルの如く、ドラマーのCECIL MONROEに捧げられた鎮魂歌でもある。そのMONROEは昨年、不慮の事故により亡くなった。
このライブは当初、MONROEを含んだレギュラー・トリオで演奏されるはずだった。しかし、MONROEが亡くなり、競演予定のベーシスト・米木康志の都合まで悪くなって大石のソロ・ピアノになったという。そして、急遽、ライヴ・レコーディングを行うことが決まったという。因みに、このアルバムが録音されたのは2011年11月6日 山梨県小淵沢町のペンション「月下草舎」にて。

@"CECIL" 澄み切った海の底を思わせる哀しくも美しいバラード。ドラマー・CECIL
MONROEに捧げた追悼曲。

A"MANATEE" 
これも大石のオリジナル。ブルース・フィーリングあふれるグルーヴィな演奏。RAY BRYANTの"ALONE AT MONTREUX"(JAZZ批評 173.)を思い出した。
B"BYE BYE BLACKBIRD" 
ミディアム・テンポでグイグイ進む。軽やかな右手と好対照にガツンガツン奏でる左手の力強いタッチが素晴らしい。
C"FLY ME TO THE MOON" 
2010年に録音されたピアノ・ソロ・アルバム"WATER MIRROR"(JAZZ批評 690.)の中でも演奏されている。
D"HOW INSENSITIVE" 
A. C. JOBINの書いた名曲。この演奏も前述のアルバムに収録されている。澄み切っていて、それでいて、熱い!
E"AUTUMN LEAVES" 
これも熱い演奏だ。
F"AMAZING GRACE〜PEACE" 
どちらかといえば、いつもクールな大石の演奏がいつになく燃えている。熱くほとばしっているのだ!
G"ふるさと〜赤とんぼ〜WHAT A WONDERFUL WORLD" 
最後は日本人の原点に戻る・・・そういう感じ。

このアルバムの「月下草舎RECORD」のURLを打つとペンション・月下草舎のHPが現れる。多分、ジャズのライヴ・ハウスでもある月下草舎が録音ついでにCDアルバムをリリースしたということなのだろう。しかも、リリースされたのは限定わずか50枚だという。従って、大きな流通には乗せられないのでネット販売しているということかも。
急拵えで録音されたということだが、実に生々しい音色である。ピアノの一音一音の粒立ちがハッキリと録れている。
しかし、こういう良いアルバムは一人でも多くのジャズ・ファンに聴いてもらいたいと思うが、わずか50枚限定というのでは手にした人はラッキーと思わずにいられないだろう。素晴らしいピアノ・ソロ・アルバムだと思う。
わずか限定50枚のうちの1枚をゲットできたのはラッキーとしか言いようがないと思いつつ、「manaの厳選"PIANO & α"」に追加した。   (2012.03.09)

参考サイト : http://www.cd-v.net/ohishi/



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