AHMAD JAMAL
歳をとる毎に益々凄さを増してくる
AHMAD JAMAL、恐るべし!
"BLUE MOON"
AHMAD JAMAL(p), REGINALD VEAL(b), HERLIN RILEY(ds),
MANOLO BADRENA(percussion)
2011年10月 スタジオ録音 (JAZZ VILLAGE : JV570001)
尊敬の念を込めて、「この爺さん、本当に凄いわ!」と言ったのが2年と3ヶ月前の"A QUIET TIME"(JAZZ批評 592.) 。勿論、星5つ。そのアルバムが2009年の7月録音。
今度のアルバム"BLUE MOON"は2011年10月の録音。メンバーも、パーカッションのMANOLO以外が替わった。ベースがJAMES
CAMMACKからREGINALD VEALへ、ドラムスがKENNY WASHINGTONからHERLIN RILEYに。未だ衰えないJAMALの制作意欲。この人、現在81歳というのに、ジャズに対する情熱が衰えることを知らない。
@"AUTUMN RAIN" スゲー!このピアノを弾いているのが81歳の爺さんだって?信じられない。このピアノの切れは何ということだ!そして、この躍動感。どうだ!って感じだね。グループとしての一体感、緊密感も申し分ない。このグループにはMANOLOのパーカッションが欠かせない。
A"BLUE MOON" 定型パターを刻むベース・ラインに乗ってドラムスとパーカッションが跳ねる。そこに自由奔放なJAMALのピアノが重なっていく。リズム隊が安定しているから好きなように出来る。こいつぁ、いいね!
B"GYPSY" ピアノによるフリーの演奏が5分ほど続く。
C"INVITATION" この曲もスタンダード化した佳曲。多ビートを用いた演奏でパーカッションが効果的だ。JAMALはまるでピアノを殴打するがするが如し。このパワー!81歳の爺さんの成せる業とはとても思えない。この曲というと、僕の中ではAL
HAIG TRIOの"INVITATION"(JAZZ批評 47.)が思い起こされるが、完全に迫力負けだ。
D"I REMEMBER ITALY" @に続く、JAMALのオリジナル・バラード。美しい曲だが、ピアノをガンガン鳴らしている。
E"LAURA" 前曲に続いて、この曲もほとんどフリー・テンポのバラード。
F"MORNING MIST" JAMALのオリジナル、3曲目。ベースのイントロで始まる。太くて硬いベース音。いい音色だ。JAMALのピアノは音の洪水のごとくに圧倒してくるが、それが嫌味にならない。不思議なパワーを持っている。
G"THIS IS THE LIFE" 16ビートを無視した演奏かと思えば、それに気持ちよく乗った演奏も。やること全てが独創的でキラキラと輝いている。
H"WOODY'N YOU" 最後はD. GILLESPIEの曲で締めて、トータル78分。
このジャケットのサブ・タイトルに"THE NEW YORK SESSION"と書いてある。ベースのVEALもドラムスのRILEYもニューヨークを代表するプレイヤーの一人。2004年録音のPETER
BEETSのアルバム"NEW YORK TRIO PAGE 3"(JAZZ批評 270.)でもこの二人がサポートを行っている。
このアルバム、演奏時間が全部で78分にも及ぶ。しかも、全編を通じて圧倒的なパワーで迫ってくる。これが81歳の爺さんの演奏するジャズか!というほど迫力に満ちている。
歳をとる毎に益々凄さを増してくる!AHMAD JAMAL、恐るべし!
いやあ、凄いパワーだ。そのパワーのおこぼれをもらった気分に感謝しつつ、「manaの厳選"PIANO & α"」に追加した。 (2012.02.26)
試聴サイト : http://www.youtube.com/watch?v=74P0708htk0
参考サイト : http://www.youtube.com/watch?v=9dS2fRAmjFE&feature=related
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