独断的JAZZ批評 584.

HOLLAND/RUBALCABA/POTTER/HARLAND
曲が終わるごとに沸き起こる歓声の大きさが全てを物語っている
"LIVE AT THE 2007 MONTEREY JAZZ FESTIVAL"
CHRIS POTTER(ts), GONZALO RUBALCABA(p), DAVE HOLLAND(b), ERIC HARLAND(ds)
2007年9月 ライヴ録音 (MONTEREY JAZZ FESTIVAL RECORDS : 0888072312449)

前掲に続くテナー・カルテット・アルバムの第2弾。サックス・プレイヤーも同じCHRIS POTTERだ。ピアノにRUBALCABA。ベースがこのセッションのリーダと思われるHOLLAND。ドラムスにHARLANDという、豪華メンバーだ。これは2007年のMONTEREY JAZZ FESTIVALにおける50周年を記念するオールスター・カルテットのライブ盤だ。
DAVE HOLLANDというと僕の中ではCHICK COREAとの時代を思い浮かべてしまう。アルバムで言うと1969年の"is"や1971年の"A R C"とかのCOREAが前衛に走った時代だ。こりゃあかなり古い話だ。最近、といっても1989年だが、PAT METHENYとのギター・トリオ、"QUESTION AND ANSWER"(JAZZ批評 27.)はドラムスにROY HAYNESを迎えてストレート・アヘッドな演奏が良かった。
RUBALCABAについて言えば、何と言っても1991年の"BLESSING"(JAZZ批評 99.)が素晴らしかった。類稀なタイム感覚はスローにあっても躍動感に溢れていた。
翻って、このアルバムではメンバーの各人が2曲ずつ曲を提供している。(作曲者:演奏時間)。

@"TREACHERY" 先ず、ライヴとは思えない録音の良さに吸い込まれていく。これは凄いね。ドラムスもベースもピアノも躍動感満載に踊っているもの。まあ、このRUBALCABAのピアノを聴いてくれ!(HARLAND:7分46秒)
A"MINOTAUR" 
HARLANDのドラム・ソロで始まる。HARLANDのドラムスが歌っている。このセッションのために顔をあわせた4人にもかかわらず息はぴったりだ。これが超一流のミュージシャンのやる仕事だと納得する。POTTERの水を得た魚の如き自由奔放なソロも乗りに乗っている。前掲の"NOT BY CHANCE"(JAZZ批評 583.)とは別人のようだ。(POTTER:11分36秒)
B"OTRA MIRADA" 
言ってみれば、次に始まる圧倒的なプレイへの序曲。(RUBALCABA:5分16秒)

C"STEP TO IT" 
HOLLANDのベース・ソロで始まる。このセッションではRUBALCABAのピアノが重要な役割を担っており、特にバッキングにおいて良い仕事をしている。切れのあるバッキングは緊迫感と躍動感を醸成していく。後半に配置されるHOLLANDのベース・ワークが素晴らしい。繰り返されるリフをバックにHARLANDの良く歌うドラミングにも注目したい。このアルバムではこの曲あたりから演奏が更に冴え渡ってくる。(HOLLAND:10分11秒)
D"MAIDEN" 
HOLLANDのフリーなベース・ソロで幕を開ける。太くてビート感に溢れる素晴らしいソロだ。そこに絡むPOTTERのテナーが泣かせるねえ。そして、ピアノが絡み、ブラッシュ(後にスティック)が絡む。いやあ、痺れるね!(HARLAND:10分34秒)
E"50"
 テーマにおけるキメがビシビシと決まっていって気持ちよい。RUBALCABAのアイディア溢れるピアノ・プレイが素晴らしい。(RUBALCABA:9分59秒)
F"VEIL OF TEARS"
 ライヴとは思えぬ生々しいベース音、そして、徐々に躍動していくそのさまに感動。切なげに咆哮するPOTTERのテナー、それに絡むRUBALCABAのピアノ。どれもが渾然一体となってアンサンブルを磨き上げる。(HOLLAND:10分48秒)
G"SPOKEN INTRODUCTION" 
メンバー紹介。
H"ASK ME WHY"
 磐石のリズム陣を背景にPOTTERのテナーが炸裂し、続くRUBALCABAのピアノが切れ味鋭いソロを展開していく。演奏は最後にクライマックスに到達して幕を下ろす。(POTTER:11分20秒)
 

ベースとドラムスの安定したサポート振りがソロイストを乗せていく。豪快な突破力をみせるPOTTERのテナーが活き活きと歌い、楔を打ち込むRUBALCABAのピアノに鋭さが漲っている。個々の力量が申し分なくて、更に、アンサンブルとして優れていればこれは鬼に金棒でしょう。フェティバル会場を埋め尽くしたリスナーにとっても感動のライヴ。曲が終わるごとに沸き起こる歓声の大きさが全てを物語っているということで、「manaの厳選"PIANO & α"」に追加した。全8曲、トータルタイム78分の圧倒的なセッションをとくとお聴きあれ!   (2009.09.30)