“Whisper Not” KEITH JARRETT(p),GARY PEACOCK(b),JACK DEJOHNETTE(ds)
1999年7月録音
キースジャレット・トリオの’99年7月パリ・ライブ録音版。ジャズのスタンダードナンバーばかりを集めた2枚組みだが、最後まであきさせない秀逸な出来栄えとなっている。
タイトル曲の”Whisper Not”と言えば、すぐ、ウィントン・ケリーを思い出すが、この演奏もすばらしい。テーマの後に続くアドリブではディジョネットのドラムが4ビートを刻んでいく。全編にわたって聴くことのできるディジョネットの4ビートは天下一品で、4ビートを刻ませたら右に出る者はいないと僕は思っている。「たかが4ビート、されど4ビート」。基本中の基本であるが単純なものにこそ力量が表れる。ぐんぐん乗せていくスイング感に溢れている。
その後に続くピーコックのベースもすばらしい。ピチカート・ベース本来の「音」を持っている。硬質でありながら奥行きのある野太い音だ。
これら選りすぐりのサイドメンを抱えてキースのピアノも大いにスイングしている。3者のインタープレイが決して聴く者を飽きさせない。
ジャズファンなら一度は耳にしたことのあるお馴染みのスタンダードナンバーを三位一体となって歌い上げる、それは感動の名演と言える。
このトリオのよさは、それぞれのメンバーが十分すぎる才能と力量を持て余すことなく、プラスαに昇華していることと、音楽に正面から向き合っているという真摯な姿勢だと思う。
やんやの喝采が鳴り止まぬキース・ジャレットトリオの最高傑作である。
「manaの厳選"PIANO & α"」に追加した。
キースジャレットの最新ベストアルバム!
2枚組でスタンダードナンバーを堪能できるファン必携のアルバム。