BROWNE HAYWOOD STEVENS
このグループに必要なのは「エモーショナルな躍動感」だろう
"SUDDEN IN A SHAFT OF SUNLIGHT"
TIM STEVENS(p), NICK HAYWOOD(b), ALLAN BROWNE(ds)
1998年5月 スタジオ録音 (RUFUS RECORD : RF084)


オーストラリアのグループだという。ユニークなジャケット・デザインと「最終入荷」という脅し(?)文句に釣られて注文を出してしまった1枚。
確かに、このジャケットからは素性の良い音楽のイメージが湧いてこない。一癖も二癖もありそうな音楽を期待してしまいそうだ。ところが「開けてびっくり玉手箱」とはこういうアルバムをいうのだろう。ジャケットからは想像もつかない真っ当な音楽が流れ出したのでこれにはびっくりした。
DHI以外の8曲がSTEVENSのオリジナル。

@"MOMENTS OF LUCIDITY" 
最初の一音からしてジャケット・イメージとの隔たりが大きくてちょっと付いていけない。至極、真っ当なのだ。真っ当すぎるのだ。どちらかというとリリカルなプレイだ。演奏に一体感が加味されれば、更に良いだろう。
A"IN ANGEL ARMS" 
ストレートなスイング感のない持って回った演奏だ。通常、内省的って言うのだろうけど・・・。このグループ、こういう傾向が強いように思う。
B"MEANING IN SIGHTS UNSEEN" 
何とはなしに始まって、何とはなしに終わっていく・・・そういう感じ。
C"TALKING TOO MUCH" 
"TOO MUCH"というほど饒舌ではないが・・・。
D
"HACKENSACK" T. MONKのオリジナル。やっとというべきか、アップ・テンポの4ビートを刻んでいくのだが・・・。もう一つスカッとしない。HAYWOODのベース・ソロになるといつも躍動感が失われる。
E"EARS FOR CIVIL ENGINES" 
テーマが面白くないからアドリブも面白くない。
F"A SLOW TUNE FOR KYOKO" 
退屈なバラード。
G"BREAKFAST MENU CONQUESTS" 
H"I THOUGHT ABOUT YOU" スタンダード・ナンバー、1曲。
I"QUASIMODO" C. PARKERのオリジナルももっともっとスイングできるはず。3人のいずれにも少しずつエモーションが足りない。
J"LUNCH CUTTERS' BALL" 


TIM STEVEVSの手になるオリジナルは楽曲としての面白さに欠けている。3者の技量も、一体感、緊密感もいまいち。このグループに必要なのは「エモーショナルな躍動感」だろう。
「最終入荷」といっても、本当に良いアルバムなら再発の可能性は高い。何故なら、それが商売だからだ。逆に、この程度のアルバムなら再発の可能性は本当に低いかもしれない。もし、本当に「最終入荷」だったとしても、買って良かったという気にはならないのが残念。
申し訳ないけど、このアルバムに何時までも時間を割いているわけにはいかない。予約していたアルバムが今日、2枚着いた。ちょい聴きしたら、これは素晴らしかった。早く、次に移ろう。   (2009.08.21)



独断的JAZZ批評 575.