ELIANE ELIAS
願わくば、ヴォーカルなしのトリオ演奏だけで全8〜9曲くらいのアルバムを聴いてみたいと思った
"SOMETHING FOR YOU"
ELIANE ELIAS(p, vo), MARC JOHNSON(b), JOEY BARON(ds) & BILL EVANS(p:
track. 17)
録音年月不明 スタジオ録音 (EMI MUSIC JAPAN : TOCJ-68076)
ELIANEによるBILL EVA Sへのトリビュート・アルバム。EVANSの愛奏曲集とも言える。ベースを務めるのがEVANS
TRIO 最後のベーシストMARC JOHNSON。
以下をご覧いただければ分かるが、全18曲と滅法演奏曲数が多い。当然、1曲あたりの演奏時間は短くて、長くても4分台だ。なおかつ、ELIANEのヴォーカル入りが全部で6曲。そのあたりを十分考慮に入れながら購入したほうがいいだろう。
@"YOU AND THE NIGHT AND THE MUSIC " とても流暢なピアノ語りで「これは!」と思わせる3分16秒。
A"HERE IS SOMETHING FOR YOU" VOCAL入り。しっとりとしたヴォーカル、リリカルなピアノの2分55秒。
B"A SLEEPIN' BEE" VOCAL入り。グルーヴィなベースのウォーキングに乗ってELIANEのヴォーカルが弾む。そしてご機嫌なピアノ・プレイにシフトしていく。2ビートで指でも鳴らしながら聴いて欲しい。このアルバム、最大の聴きどころ。2分49秒と短すぎるのが惜しい。
C"BUT NOT FOR ME" これもノリの良いトリオ演奏。3分49秒。
D"WALTZ FOR DEBBY" VOCAL入り。3者のバランスも良くスイングしている。こんな演奏ならヴォーカル抜きで最初から聴いてみたい。4分03秒。
E"FIVE" EVANSらしくないと言えばらしくない曲でかなりグルーヴィな演奏である。4分58秒。
F"BLUE IN GREEN" この曲としては珍しいボサノバ調の演奏。たまにはこういうのもいいねえ。ボサノバを得意とするELIANEの独壇場とも言える4分49秒。
G"DETOUR AHEAD" VOCAL入り。4分30秒。
H"MINHA (ALL MINE)" VOCAL入り。3分10秒。
I"MY FOOLISH HEART" M. JOHNSONはこの曲と最後のQで、今は亡きSCOTT LAFAROのベースを拝借して弾いたという。当然のことながら音の違いまでは分からない。一説によるとSCOTT LAFAROの音は小さくて増幅に頼っていて、それ故に、ギターのようにベースを弾きこなすことが出来たという説もあるようだが、このベースの音色を聴く限りまあまあ箱がなっているようにも聴こえる。ただ、LAFAROのベースを拝借してまで弾くことにどういう意味があったのか僕には分からない。JOHNSONはJOHNSONであって、LAFAROではないのだから・・・。4分59秒。
J"BUT BEAUTIFUL / HERE'S RAINY DAY" VOCAL入り。心なしか前曲よりもベースの音が鳴っているように聴こえる。ただ、録音技術とミキシングでいかようにもなる世界なのでこれ以上の邪推はやめにしよう。4分22秒。
K"I LOVE MY WIFE" ピアノ・ソロ。この曲あたりから後半部は少々ダレる。無理やり詰め込みすぎた弊害かもしれない。2分53秒。
L"FOR NENETTE" この演奏もピアノ・ソロ。2分50秒。
M"EVANESQUE" 3分20秒。
N"SOLAR" 3分08秒。
O"AFTER ALL" EVANS愛奏曲集で終わるところ、自然発生的に追加された唯一のELIANEのオリジナル・バラード。4分25秒。
P"INTRODUCTION TO HERE IS SOMETHING FOR YOU" EVANSのプレイが1分と40秒ほど入りmp3以上の音の悪さに辟易していると、現代にタイムスリップしてELIANEの一言を添えて終わる。この音の悪いテープはEVANSが死ぬ数週間前にM.
JOHNSONに手渡した未発表のカセット・テープだったという。2分13秒。
Q"RE: PERSON I KNEW" S. LAFAROのベースを使用した3分32秒。
ヴォーカルあり、トリオ演奏、ピアノ・ソロありで全18曲はいかにも多い。あれもこれも欲張りすぎて、若干、フォーカスが絞りきれていないように感じた。でも、このトリオはまた聴いてみたいという何かがあるね。
願わくば、ヴォーカルなしのトリオ演奏だけで全8〜9曲くらいのアルバムを聴いてみたいと思った。 (2007.11.08)