独断的JAZZ批評 408.

WEATHER REPORT
「キン肉マン」と"HEAVY WEATHER"、
面白い取り合わせだと思いません?
"HEAVY WEATHER"
WAYNE SHORTER(ss, ts), JOE ZAWINUL(p, electric piano, synthesizer, vocals, melodica, guitar, tabla), JACO PASTORIUS( vocal, fretless bass, mando-cello, drums, steel drums), MANOLO BADRENA(tambourine, congas, vocal, timbales, percussion), ALEX ACUNA(ds, congas, tom toms, handclap)
1977年 スタジオ & ライヴ録音 (COLUMBIA JAZZ : CK 47481)

このアルバムが発売になったのはもう30年も前のことか!いや、参ったね。30年だと!しかし、考えてみれば、自分のジャズ暦も38年も経つのだから、さもありなん。時、まさに今、WEATHER REPORTの国内再発盤が花盛りなので入手はし易いかもしれない。
このアルバムは25年くらい前に良く聞いた。当時、奈良に住んでいて東京への帰省時に車の中で良く聞いた印象が今でも鮮明に残っている。当時、TVアニメの「キン肉マン」が流行っていて、子供たちの選ぶ「キン肉マン」カセットをかけるか、僕の選ぶこのカセットを選ぶかで喧嘩になったものだ。結果、両者の意見を入れて、交互に聞いたものだ。実に、懐かしい。

そういう、洗脳教育が効いたのかどうか知らないが、3人の子供は一応、ジャズを聴くようになった。親としては自分のわがままとは思いつつも、一緒にジャズを聴けたり、ジャズの話が出来るのは嬉しいものだ。5月にはVIT SVEC TRIO(ピアノはMATEJ BENKO)(JAZZ批評 126. & 245.)のライヴが新宿のPIT INNであるが、このチケットを2枚、ゲットし、末の娘と行くことになっている。何しろ、娘はMATEJ BENKOの"UNIVERSALITY"(JAZZ批評 391.)の中にある"ALL FOOL'S DAY"のラテン的躍動感と明るさが偉くお気に入りなのだ。
と、まあ、親馬鹿ぶりを披露してしまったわけだけど、このアルバムはそれほど思い出深いアルバムだと言いたかった訳。「キン肉マン」と"HEAVY WEATHER"、面白い取り合わせだと思いません?

余談が長くなってしまった。では、本題に。


@"BIRDLAND" 
JOE ZAWINULの書いた曲。素晴らしい曲だ。この演奏の楽しさったらないね。このグループの象徴的なチューンと言っても過言ではない。
E.S.Tの"TUESDAY WONDERLAND"(JAZZ批評 371.)にある"DOLORES IN A SHOE STAND"等はこの曲からインスパイヤーされているような気がする。

A"A REMARK YOU MADE" 
前回のレビュー、JAZZ批評 407.のこの曲がきっかけとなってこのアルバムのレビューを掲載することになった。5人編成とデュオという構成の違いがあるので、一概に比較できないが、このアルバムにおける「分厚さ」は流石だと言いたい。原曲の素晴らしさが良く分かる。これもZAWINULの書いた曲。
B"TEEN TOWN" 
JACOのオリジナル。ベースの強いビート、緊迫感溢れる演奏。

C"HARLEQUIN" 
全ての演奏に共通することだが、ひとつのテーマをアドリブで繰り返すというよりも、ひとつの楽曲全体がアレンジされているという感じ。
D"RUMBA MAMA" 
パーカッションの競演。この曲のみライヴ。
E"PALLADIUM" 
F"THE JAGGLER" 
G"HAVONA" 

このアルバムは、謂わば、電子音楽の塊だ。しかし、電子を使いこなしているというのだろうか、全然、安っぽくないのだ。緊迫感と重厚感に溢れている。特に、JACO PASTORIUSの電気ベースは圧巻の一言。電気でありながら、強いビートがあるんだよね。もしかして、これはフレットレス・ベースの賜かも知れないが、歌心といい申し分のない演奏だ。「JACOなくして、WEATHER REPORTなし」という感すらするね。僕が認める唯一のエレクトリック・ベーシストかもしれない。
若くして世を去った天才ベーシストに敬意を表しながら、 「manaの厳選"PIANO & α"」に追加した。   (2007.04.14)