抜群のテクニックに裏づけされた緊迫感、躍動感がある。

敢えて、注文をつけるとすると「色気が欲しい!」
GONZALO RUBALCABA
GONZALO RUBALCABA "THE TRIO"
GONZALO RUBALCABA(p),BRIAN BROMBERG(b),DENNIS CHAMBERS(ds)。1997年8月録音。

ブライアン・ブロンバーグのベースは艶やかな音色と強いビート感、そして抜群のテクニックでグループの中心的な存在感を示している。
勿論、ピアノのルバルカバもテクニック満載のスィング感を全編で披露している。ドラムスのデニス・チェンバースもGOOD!3人が3人とも抜群のテクニックを発揮し、トリオとしての緊迫感にも溢れており、非常に完成度の高い演奏である。

1曲目のハービー・ハンコックの名曲「処女航海」もオリジナリティ溢れる演奏だ。ベースがとてもいい薬味の役割を果たしている。
"CARAVAN" "ON GREEN DOLPHIN STREET" "YESTERDAYS" "WOODYN YOU" 「黒いオルフェ」とジャズファンなら一度は聞いたことのあるスタンダード・ナンバーがずらりと並ぶ。
どの曲も緊張感と渾然一体となったインタープレイを随所に見せている。
2曲目の"CARAVAN" はイントロからテーマへの入り口が絶妙!只者ではないと思わせてしまう。チェンバースのシンバリングは軽やかによく歌い安心して聴いていられる。
サイドメンが良いとぐっと演奏が締まる。特に4ビートが素晴らしい。しっかりしたベースのウォーキングに軽やかなシンバリングがぐいぐいと聴く者を引っ張り込んで行く。
最後の「黒いオルフェ」は超スローでしっとりした演奏。ここでもブロンバーグのベースは切なく唸っている。この人のハイトーンは綺麗、見事、美しい!

全編を通してみた時に、惜しむらくは、少し「色気」「色香」に欠けるのだ。トリオとしての完成度や抜群のテクニックに裏付けされた緊迫感や躍動感も全て揃っている。
それだけに、唯一、「官能的色気」に欠けるのが惜しい。演奏が若干、「無味乾燥」「無機質」的である。
でも、このグループは良くなっていくと思う。将来が楽しみだ。         (2001.10.06.)



独断的JAZZ批評 29.