これこそJAZZの真髄
 JAZZの楽しさ
 JAZZの奥義
 何回でも繰り返し、繰り返し、聴きたくなる!
"AIR"
GIOVANNI MIRABASSI(p), FLAVIO BOLTRO(tp+bugle), GLENN FERRIS(tb)
2003年3月スタジオ録音 (SKETCH SKE 333036)

HMVでこのCDを試聴する前は、既に試聴した2枚のCDをで購入する予定だった。たまたま試聴機がふさがっていて後回しになったが、レジに行く前にこのCDを聴く事が出来た。1曲目を数分聴いて、ゾクゾクッと来てしまった。持っていた2枚のCDをご丁寧にも元の陳列棚に戻した。間違いなく、このCDを聴いた後では、その2枚は陳腐化してしまうと思ったからだ。
で、このアルバム。GIOVANNI MIRABASSIのピアノにトランペットとトロンボーンという変則的なトリオ編成となっている。
    
@"LILI EST LA" この躍動感と高揚感が堪らない!!この曲の冒頭2分間を聴いただけで購入を決めた。
A"MEMENTO MORES" "DAL VIVO!"(JAZZ批評 67.)でも演奏されている曲。
B"BOBO'S THEME" トロンボーンの愛嬌のある音色が心和ませてくれる。ワルツ。
C"MATA HARI" 
D"UN MONDE DE FOUS" 

E"JEAN-PAUL CHEZ LES ANGES" ピアノ→トランペット→トロンボーンと3者が混合し、融合し、昇華ていく。
F"ADELE & PAPILLON" 短めの重録音。
G"BEHIND THE WHITE DOOR" 

H"LES OISEAUX DE PASSAGE" トロンボーンってこんなに表現力が豊かだったのか!MIRABASSIのバッキングが素晴らしい。3者のインタープレイ。
I"DES JOURS MEILLEURS" これも "DAL VIVO!"に収録されている哀愁溢れる曲。
J"JUSTE AVANT LA GUERRE" 

ピアノ、ベース、ドラムスという既成のトリオ編成に捉われず、トランペットとトロンボーンという編成に果敢にチャレンジした勇気を買いたい。リズム・セクションの部分をピアノが担うという負担の大きい編成でありながらも躍動感を失わなかったことが素晴らしい。それどころか、スリリングな緊張感と躍動感に満ちており、感動せずにはいられい。
ピアノというメロディー、リズム、ハーモニーを1台でこなす楽器の特性を活かした編成といえる。新たなピアノ・トリオのあり方を提起し、見事にその可能性を実現したみせた。この作品が刺激となって、ベース、ドラムスという枠組みから開放されたピアノ・トリオ編成のアルバムが数多く発売されるのではないか。JAZZ批評 147.のKENNY BARRON(p)とGEORGE ROBERT(as,ss)とのデュオにも匹敵するリズム陣無しの好演盤だ。

このアルバムにはスリリングな緊張感、躍動感、トリオとしての美しさ、その全てが凝縮して詰まっている。これこそJAZZの真髄。JAZZの楽しさ。JAZZの奥義。何回でも繰り返し、繰り返し、聴きたくなる!
トランペットのFLAVIO BOLTROとトロンボーンのGLENN FERRISのナチュラルにして虚飾を剥ぎ取った好プレイも付け加えておかなければいけないだろう。
当然の如く「manaの厳選"PIANO & α"」に追加した。  


初回限定特典として2曲を収録したCDが付録されている。
@"ZOOM"
A"APRES LA GUERRE"
この2曲もなかなか素晴らしいので、どうせ購入するなら早めに買った方がいいかも知れない。
(2003.11.16)



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MIRABASSI BOLTRO FERRIS

独断的JAZZ批評 164.