GARRISONの力強くも土の匂いのする
ウォーキング・ベースが唸りを上げる!
"MILESTONES"を聴け!
"SPEAK LOW"
WALTER BISHOP JR.(p), JIMMY GARRISON(b), G.T. HOGAN(ds)
1961年スタジオ録音(JAZZTIME TKCB-30457)


また、戸棚からピックアップの1枚。WALTER BISHOP JR.のLP(CD)というとこれしか思い浮かばない。この1枚のLPで存在を知らしめ、この1枚のLPのみで消えていったといっても過言ではない。一時期、幻の名盤として入手が困難であったことも、その評価を高める要因になったと思う。
そうは言っても、今もハードバップのピアノ・トリオの定番として定着している。

@、A"SOMETIMES I'M HAPPY" と別テイク。針を落とすといきなりGIMMY GARRISONのベースが土足でずかずかと進入してくるかの如く入り込んでくる。この傍若無人の迫力に痺れたものだ。
B、C"BLUES IN THE CLOSET" と別テイク。GARRISONのPAUL CHAMBERS並みのアルコ・ソロを披露するが、僕はジャズにアルコ弾きというのはどうも好きになれない。歯痒いのだ。躍動感が犠牲になる。
D"ON GREEN DOLPHIN STREET" スタンダード・ナンバーの定番。お馴染みのベース・パターンからBISHOPの楽しげなアドリブに入る。3者が一丸となってゴールへ突進する。

E"ALONE TOGETHER" アドリブに入ってから、4ビートを刻むGARRISONの力強くも土の匂いのするウォーキング・ベースが最高!
F"MILES DAVISの名曲"MILESTONES" アップテンポの出だしからGARRISONのベースが唸りを上げる。こういう躍動感が堪らないのだ。このLPのハイライト。
G、Hはタイトル曲"SPEAK LOW" と別テイク。

全9曲、極めてシンプルに歌っている。手の込んだアレンジや奇を衒う細工も無し。最近はやたらと手の込んだアレンジや仕掛けをする輩が多いが、こうしたシンプルの極みみたいな演奏でも充分胸を打つことが出来る。というよりも、こうしたシンプルな演奏にこそ胸を打つ要素が凝縮されていると思うのだが・・・。
なんと言ってもFが素晴らしい。それとE。あとは無理に聴く必要はない。

いずれにしても、JIMMY GARRISONの参加なくして、ピアノ・トリオの定番LP(CD)としての評価を受けることはなかったに違いない。じっくっりとベースの存在感を味わって欲しいと思う。

CD盤では時間合わせに3曲の別テイクが収録されているが、これも良し悪し。収録時間を合わせて価格を維持するようなセコイ売り方は止めて欲しいものだ。   (2002.12.09)


WALTER BISHOP JR.

独断的JAZZ批評 111.