"FURTHER DOWN THE ROAD"
ALAN BROADBENT(p), ANDY BROWN(b), FRANK GIBSON(ds)
1985年スタジオ録音(ATELIER SAWANO AS 032)
このALAN BROADBENTというピアニストはニュージーランドの出身らしい。最近、CDも次々発売されているみたいだが、僕は初めての購入。最近では"YOU
AND THE NIGHT AND THE MUSIC"が発売されたが、試聴して購入をやめた記憶がある。
今回は偶然にも、HMVのポイントが溜まって2000円分のプレゼントをもらえることになり、1枚くらい持っていても良いかと思い、このCDを選んだ。率直に言って、ヨーロッパ・ジャズが好きな人にはぴったりだと思う。いわゆる、白人系の品の良い洗練された演奏が聴ける。でも、そうでない人には物足りないかも。
@"ISRAEL" この曲はブルースだが、BILL EVANSの"
EXPLORATIONS"での演奏が余りにも有名だ。どうしてもそれと比較してしまう。ここでの演奏は前者に比べてテンポがゆっくり。なんとなく間が抜けた感じになってしまうのが惜しい。最初はドライブ感も今ひとつという印象だが、スティックに持ち替えたあたりから調子が上がってくる。快いシンバリングが4ビートを刻み始めるとベースもスウィングし始め、グループのテンションも上がって来る。ピアノ〜ベースのソロの後、ドラムスの12バースを経てテーマに戻る。
A"INVITATION" この曲も数多くの名演があるが、その中でも
JAZZ批評 47.で紹介したAL HAIGの"INVITATION"が一押し。華やかなAL HAIGに対してBROADBENTのそれは知的で清々しさがある。絶対に「はみ出ない」安心感みたいなものを感じてしまう。それが良いか悪いか?ブラッシュワークに落ち着きがなく、やたら手数が多いのが難点だ。
B"PEACE" スロー・バラード。こういうのはお手の物かもしれない。
C"NICTATION" ミディアム・ファーストのBROADBENTのオリジナル。「チンチカ・チンチカ」と刻むシンバリングが心地よい。
D"NIGHT AND DAY" スタンダードの名曲。品良くまとまった。ALANの演奏はこういう美しいスタンダード・ナンバーを小粋にお洒落に演奏するのが向いている。ヨーロッパ・ジャズを愛する人にはぴったり嵌るんじゃないだろうか。
E"FURTHER DOWN THE ROAD" これもBROADBENTのオリジナル・ワルツ。タイトル曲。
F"AU PRIVAVE" これもブルースだけど、こういう風にドライブ感があるとなかなか良い。このアルバムのベスト。こういう風に最初からスティックを使って欲しいものだ。ブラッシュばかりが多すぎる。
G"DON'T ASK WHY" BROADBENTの3つ目のオリジナル。ピアノ・ソロ。
このピアニスト、タッチが少し弱い、と言うよりもかなり抑制された演奏だ。テンションの爆発がない。もっと力強さと灰汁の強さがあっても良いと思う。それと、絶対に「はみ出ない」という安心感が良いのか悪いのか?これはこれでひとつのスタイルだとは思うのだが、僕にはちょっと物足りない。次に何やるか分からない予測不能な「危うさ」があっても良いのでは?(2003.09.20)