独断的JAZZ批評 941.

STEVE KOVEN TRIO
躍動感とドライヴ感、3者の織りなす緊密感と美しさ
"LIVE AT THE SENATOR"
STEVE KOVEN(p), ROB CLUTTON(b), HARVEY PIPHER(ds)
1997年3月 ライヴ録音 (自主制作盤)

久しぶりに3000円を超えるCDを購入した。自主制作の復刻盤、しかも、大好きなSTEVE KOVENのデビュー・アルバムとあっては買わないわけにはいかない。
今までに、KOVENのトリオ・アルバムは4枚紹介しているが、中でも、2002年録音の"LIFETIME"(JAZZ批評 560.)や2012年録音の"20"(JAZZ批評 799.)はとても素晴らしいアルバムで文句なしの星5つを献上している。"RESURGENCE"(JAZZ批評 561.)や"ALONE TOGETHER"(JAZZ批評 649.)も甲乙付け難いアルバムで同様にお勧めしたい。
本アルバムは有名曲を集めたスタンダード集と言ってもいいかもしれないが、一筋縄ではいかぬ彼ららしい味付けが施してあり、中身の濃いアルバムである。

@"RUDY'S PLAYHOUSE" 次の"CARAVAN"に繋ぐピアノ・ソロによるイントロ的な曲だけど、これが超刺激的で最高にカッコいいのだ。"CARAVAN"へのブリッジの部分ではアルコやマレットを使用したインタープレイが展開され、とてもスリリング。
A"CARAVAN" 
この構成力、躍動感、ドライヴ感には唸るなあ!聴いていると塞いだ気持ちまでもがスカッと晴れていく。これは最高!!
B"OLD FOLKS" 
一転してバラード演奏。聞古した感のあるスタンダードである。別に、奇を衒っているわけでもないし普通にオーソドックスな演奏なのだが、何故かKOVENの手に掛かると新鮮に聴こえるのが不思議だ。
C"TENOR MADNESS" 
珍しい!SONNY ROLLINSの書いたブルースをピアノ・トリオで演奏している。ドラムスとの4小節交換を経てテーマに戻る。
D"NARDIS" 
スタンダード化したと言っても良いだろうMILES DAVISの曲。異国情緒豊かなイントロで始まる。緊密感溢れる3者のインタープレイが素晴らしい。徐々に昂揚感が増してきてピークを迎えてから終わる。
E"BODY AND SOUL" 
重低音で唸るベース音とリリカルなピアノのメロディがベストマッチング!そっと寄り添うブラシ・ワーク。薫り高い極上の日本酒のようだ!
F"BYE BYE BLACKBIRD"
 ここではベースのCLUTTONがフィーチャーされている。このCLUTTONとKOVENはなくてはならない関係で、この強固な関係は20年に亘る。前に突き進むドライヴ感と躍動感。ジャズはこれだよ!

STEVE KOVENのアルバムに外れなし。
特に、「スイングしなけりゃ意味がない」、「躍動感のないジャズなんてジャズではない」と思っているジャズ・ファンには最高でしょう!
加えて、KOVENのピアノ・センスがピカイチ。躍動感とドライヴ感、3者の織りなす緊密感と美しさ。これぞ、聴きたいピアノ・トリオの1枚に追加されるべきアルバムでしょう。

3000円超という高値のCDではあったが、元を取るどころか十分なお釣りがついてきた・・・というよりも、最高バリューを提供してくれたということで、「manaの厳選"PIANO & α"」追加した。   (2015.06.04)

試聴サイト:
http://www.stevekoven.com/discography/#live-at-the-senator
        
このサイトでは全曲フルに試聴できる。



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