独断的JAZZ批評 914.

CHRIS LOMHEIM TRIO
80点主義のモノづくり?
"THE BRIDGE"
CHRIS LOMHIEM(p), GORDON JOHNSON(b), PHIL HEY(ds)
2002年2月 スタジオ録音 (LOMSTRADAMUS MUSIC)


このCHRIS LOMHEIMというピアニストは初聴きだ。
ミネアポリスを拠点として活躍している中堅のピアニストということで、本アルバムがリーダーとしてのセカンド・アルバムに当たるらしい。ファースト・アルバムの"...AND YOU'VE BEEN WAITING ?"は良く目にはしていたのだが、購入しないまま本アルバムのゲットとなった。
アメリカにはなかなか陽は当たらないが渋いピアニストは結構いて、例えば、"ROMAN SUN"(JAZZ批評 167.)のJOHN HARRISON Vや"MODERN ROMANCE"(JAZZ批評 639.)のDAVE PECK、"WITH ERIC HARLAND & MATT PENMAN"(JAZZ批評 818.)のJOHN NAZARENKO等もそういうピアニストのひとりだろう。このあたり、アメリカ・ジャズ界の層の厚さを感じさせる。
本アルバムではオリジナルが4曲、スタンダードやカバー曲が5曲という構成になっている。

@"EVERYTHING I LOVE" COLE PORTERの名曲だ。奇を衒わない素直な演奏だ。多分、何十回、何百回と弾いたことのある曲なんだろうね。手慣れた感じだ。アドリブに入るとシンバル・レガートに乗って心地よい4ビートを刻む。
A"THE BRIDGE" 
オリジナルのバラード。ベース・ソロが聴かせどころだ。
B"IT COULD HAPPEN TO YOU" 
この曲も採用されることの多いスタンダード。変にいじくり回さずストレートな演奏で好感が持てる。
C"ESTATE (SUMMER)" 
"ESTATE"というのはイタリア語で「夏」を意味しているので"SUMMER"と副題がついているんだね。英語の「地所」ではないのだ。この曲というと、今は亡きMICHEL PETRUCCIANIの演奏を思い出す。
D"MARSE" 
ドラムスのHEYのオリジナル。いかにも、ドラマーが作った曲だなあという感じ。
E"BLAME IT ON MY YOUTH" 
大好きな曲のひとつ。この曲があったから本アルバムを選んだ。この曲もKEITHの名演があるけどね・・・。これはこれ。
F"WOODY'N YOU" 
DIZZY GILLESPIEの曲。ここでは3人がガッツあるプレイを披露している。
G"IN PASSING" 
H"THE LAST FLOWER" 
最後はオリジナルのバラード。

こういうアルバムってレビューアー泣かせだ。
美しさもあるし、緊密感も悪くはない。ナチュラルでもある。良いピアノ・トリオだとも思う。でも、何となく、80点主義のモノづくり?を思い浮かべてしまうのだ。いずれも平均点以上ではあるのだが、星5つにするには何かが足りないのだ。
あえて言うと、心を鷲掴みにするようなこの人なりの個性があれば、より素晴らしいピアノ・トリオに生まれ変わるのではないかと思った。   (2015.01.08)

試聴サイト:
https://www.youtube.com/watch?v=4Z4Wox2H_Qc
        https://www.youtube.com/watch?v=A8a5Gb8TcSI



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