独断的JAZZ批評 898.

BALDYCH & HERMAN
力強く、分厚くて、そして、繊細
"THE NEW TRADITION"
ADAM BALDYCH(vn), YARON HERMAN(p)
2013年9月 スタジオ録音 (THE ACT COMPANY : 9626-2)


9月上旬に"BODY AND SOUL"でYARON HERMAN TRIOのライヴがあった。近年にない素晴らしいライヴであった。そのテーブル席に置いてあったのが4日後のソロ・コンサートのパンフレット。あまりの素晴らしさに躊躇なくHAKUJU HALLでのソロ・コンサートに行くことを決めた。その会場の即売会で売っていたのがこのCD。"DUO ART"からHERMANのデュオがリリースされていたとは知らなかった。即、ゲット。
"DUO ART"からはギターのPHILIP CATHERINEとベースのMARTIN WINDの"NEW FOLKS"(JAZZ批評 858.)を以前紹介しているが、これもなかなかのアルバムだった。
ポーランドのバイオリニスト・ADAM BALDYCHは1986年生まれというから未だ28歳という若さだ。ジャケットを見た時には女性かと思っていたのだが、YouTubeを観て男性だと知った。

@"RIVERENDINGS" 素晴らしい音色。ピアノが合流して分厚い音楽になった。デュオとは思えないアンサンブル!先ず、釘付けにさせられた。心を奪われたと言っても良いだろう。
A"LEGENDA" 
この曲も民族音楽あるいはフォーク・ソングといった類の音楽だろうか?激しく高揚感を増していくその様が良い。
B"SLEEP SAFE AND WARM" 
滔々と流れる川の流れのようなバイオリンの音色がいいね。
C"LETTER FOR E" 
鍵盤を上から下まで縦横に駆使するHERMANのバッキングが素晴らしい!
D"JUNE" 
このトラックではBALDYCHは全てピチカートで通している。この音色がメルヘンチックであるのと同時に哀愁をも含んでいて、宮崎駿のアニメにでも出てきそうな曲想だ。
E"QUO VADIS" 
力強さと分厚さに溢れていてとてもデュオの音楽とは思えない。何と言っても、HERMANの重低音を重視したバンッキングが効果的だ。
F"LAMENTATION OF JEREMIAH" 
しっとりと美しいバラード。絹のように滑らかなバイオリンの音色にウットリ。
G"RELATIVITIES" 
H"CANTICLES OF ECSTASY"
 ピアノとバイオリンのユニゾン。あくまでも美しく・・・。
I隠しトラック バイオリンの効果音のような・・・。
 
僕はデュオというフォーマットが好きだ。
今回はピアノとバイオリンのデュオ。普段、あまり聴くことのない組み合わせだ。デュオに欠かせないのが緊密感であり、お互いのコミュニケーションだが、それが申し分ない。
そして、音が良い!ピアノの音色もバイオリンの音色も濁りのない生々しい音だ。これだけでも買って良かったと思ってしまう。勿論、演奏内容も素晴らしい。
力強く、分厚くて、そして、繊細。
これは二重丸、いや、花丸だということで、「manaの厳選"PIANO & α"」に追加した。   (2014.09.25)


試聴サイト : https://www.youtube.com/watch?v=aA7uqmDw8MQ
          https://www.youtube.com/watch?v=ptBxrBoX4yE
      


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