『続・放射能を浴びたX年後 日本に降り注いだ雨は今
監督 伊東英朗

 映画公開もされた放射能を浴びたX年後の続編として、ビキニ環礁での水爆実験の後、当のアメリカ大陸をも含んで放射能を撒き散らした雨が今に残す残留放射能の測定を試みたドキュメンタリーだ。

 沖縄・京都・山形の3府県9か所で当時建てられたまま今に残る家屋の床下の土を採取して測定した結果は、危険なレベルではないものの8か所からの残留放射能の検出だった。黒澤監督の生きものの記録['55]の中島喜一(三船敏郎)が南米に逃げるとしていたことがあながち見当違いとも言えないくらい、日本を含む東アジアも北米も放射能の雨に覆われていた。

 ゆゆしき問題だと思うのは、日本でも琉球でも気象台で放射能の雨の測定をし、検出もしていたのに、沖縄では、日本国内で報じられる測定結果とは裏腹に米軍の意向により、不検出という虚偽の安全キャンペーンが張られていたことだ。アメリカ側なら、いかにもと思える点では、日本国民に対する裏切り行為を重ねていた日本政府を告発していた前作のほうがインパクトが強かったけれども、危なそうになってくると検査や測定自体をタブー化し、国民から遠ざけるという遣り口そのものは、今も福島で再現されているようで、なんとも遣り切れない思いが湧いてくる。

 知人が「日本政府が国民を守るなんて信じてない。政府は昔も今も本質は変わってないね。」とのコメントを寄せてくれたが、日本に限らないことながら全くその通りだと思う。かといって、無政府状態に耐えうるほどに人間社会は成熟していないので、なくすわけにもいかないところが厄介な存在だ。どう制御していくかが国民の課題なのだが、これがまた難物だ。
by ヤマ

'14. 8.12. NNNドキュメント'14(8/11深夜放映)録画



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