『ブルース・ブラザース』(The Blues Brothers)['80]
監督 ジョン・ランディス

 長年気に掛けていた宿題映画をようやく観た。コメディかと思っていたら、音楽映画だった。筋立ての破天荒というか出鱈目ぶりといい、歌唱のみならず踊りがモブスタイルで現れるところといい、ビッグネームの動員を含む物量で押してくる画面といい、まさしくマサラムービーさながらで、インド映画ブームを引き起こした『ムトゥ 踊るマハラジャ』['95]に先立つこと十五年も前に、かようなR&Bマサラムービーがあったのかと感心した。

 早々にジェームズ・ブラウンがR&B教祖のような位置づけで歌い出して、ソウルフードカフェではアレサ・フランクリンが、自由に!と♪Think♪を謳い上げる。中古楽器店では、レイ・チャールズが do it right と煽る。

 そして、最後は、バンドメンバー全員を引き連れて刑務所に舞い戻ったジェイク(ジョン・ベルーシ)の歌う♪監獄ロック♪とくれば、「これはもう、カルトムービーと化しても当然だろうな」とニンマリした。カントリーパブでエルウッド(ダン・エイクロイド)が♪ローハイド♪を歌う場面も面白かった。続く♪Stand By Your Man♪ともども気に入っている。

 それにしても、これでもか!の物量作戦には呆気に取られた。ラストのカーチェイスは長すぎるキライもあるとの声が寄せられたが、そういう意味では、あの走ってきたパトカーが次々と山積みになっていく場面は、象徴的とも言えるような気がする。ミュージカルナンバーは、どれもこれもが今だに耳にする曲ばかりで、その選曲の素晴らしさに感心した。ある意味、本作のカルト化によって、その後、より繰り返し使用され、演奏されることが増えているということなのかもしれない。
by ヤマ

'23. 4.26. BSプレミアム録画



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