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Printemps    
  Margot
春  
     劇」「王妃マルゴ」

詩: ロンサール (Pierre de Ronsard,1524-1585) フランス
      Chanson

曲: オーリック (Georges Auric,1899-1983) フランス   歌詞言語: フランス語


Quand ce beau Printemps je vois,
J'aperçois
Rajeunir la terre et l'onde
Et me semble que le jour,
Et l'Amour,
Comme enfants naissent au monde

Le jour qui plus beau se fait,
Nous refait
Plus belle et verte la terre,
Et Amour armé de traits
Et d'attraits,
Dans nos coeurs nous fait la guerre.

Il répand de toutes parts
Feux et dards
Et dompte sous sa puissance
Hommes,bêstes et oiseaux,
Et les eaux
Lui rendent obéïssance.

美しい春を眺める時
私は感じるのだ
大地と波の復活を
そして私は思う、昼が、
愛が
子供たちのようにこの世に生まれてくるのだと

一層美しくなっていく昼は
私たちにもたらすのだ
一層美しく緑の大地を
そして愛の神は矢で武装して
魅惑するのだ
私たちの心の中に戦いをもたらそうと

彼はあらゆるところに撒き散らす
火を そして矢を
その力で手なずけるのだ
人を、獣を、鳥を
そして水さえも
彼に忠誠を誓うのだ


ハープの伴奏が目の覚めるように美しいこの曲は、フランス6人組のひとりジョルジュ・オーリックが、舞台女優(というよりシャンソン歌手?)イヴォンヌ・プランタンのために書いた「王妃マルゴ」のための劇中歌です。ちなみに同じ劇に、同じく6人組のひとりプーランクは「ギターによす」という曲を書いており、今にして思うと豪華な劇中歌競演でした。
オーリックはクラシックの作曲家というよりは、映画音楽の作曲家としての方が名をなした人ということもあり、その辺の聴かせ方のツボは実によく心得ています。間奏で入る木管の掛け合いといい演出効果満点で、「総天然色」の昔懐かしい映画で見る春の光景が実に見事に(音だけ聴いても)目に浮かんできます。
奇しくも、プランタンというのはフランス語で「春」という意味...
その辺も意識したのでしょうか。
録音は、まさにこの劇が初演された1935年にプランタン自身の歌唱で入れたものがフランスEMIから復刻されています。
メサジェやアーンのオペレッタからの曲や、キャバレーソングのような魅力的なシャンソンの数々(そしてその白眉がプーランク作の
どシャンソン「愛の小道」)、これはフランスの歌を辿る人はぜひ耳にすると良いと思います。
そう言えばこの中に謎の1曲、マリー・アントワネット作曲の「私のお友達」という曲が入っています。これの由来をご存知の方、ぜひ教えてください。

( 2002.03.21 藤井宏行 )


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