讃美歌96番 「エサイの根より」

 救世主イエス・キリストの到来を予言したイザヤ書11章1節

『エッサイの株から一つの芽が萌えいで その根から一つの若枝が育ち その上に主の霊がとどまる。』

 を主題にした歌である。エッサイはダビデの父親、イエスはこの系図である。(マタイによる福音書1章6節) 
 16世紀以前からドイツのライン地方で歌われてきた宗教的民謡とされ、“古くから伝わるラテン語からドイツ語に翻訳されたマリア讃歌”との説明がある (讃美歌の左上に“Altes lateinisch-deutsches Marienlied”とあります)。本来は聖母マリアを称える歌で、最初に 出版された「カトリック教会古聖歌集 Alte Catholische Geistliche Kirchengesang」(1599年、ケルン、ド イツ)では23節からなっていたが、1609年にミハエル・プレトリウス(Michael Praetorius 1571-1621)が初めの1、2節 だけを採用し、しかも第2節の強調点をマリアから幼児イエスに置きかえて以来、プロテスタントの歌集に編入されるようになり、19世紀になってドイツ新教 で普及し、それが英米にも伝わって、ついには世界的な待降の歌となった。

 讃美歌の1節、2節は上記の1、2節であるが、3節は後に別の作詞者Fri(e)drich Layriz(Friedrich Layritzとも)(1808-59)により作られたものである。

 ミハエル・プレトリウスは、賛美歌136番「血しおしたたる 主のみかしら」を作曲したレオ・ハスラー(1564-1612)と同時代のドイツの著名な 音楽家である。

 尚、ドイツ語の原歌詞では“エッサイ”に代わって“バラ”となっている。日本語の訳詩では”エッサイ”に戻している。

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