帰霊祭
夜。誕生パーティではしゃいだみんなはその疲れからぐっすり眠っている。
その中ソニックだけ覚めている。疲れるとかえって眠れない。
カーテンの隙間からは明るい光が差し込んで来ていて、それだけ今日の月夜が明るいことを伝えていた。
夜風にでもあたっていよう。外に出た。
行くとこもなし、ただ月が綺麗に見える場所を探してふらふら、さながら夢遊病者の歩みだ。
市街地を抜け、森に入り、上り坂を上がる。押し戻そうとするそれに刃向かう気分だった。
登り進めば頂上は開けていて、丘越しに見るまん丸の月は銀の涙を流していた。
その一粒は右へ左へ流れる。時に弾け時に沈む。踊る月の滴。
踊り子はヴィクトリア。
くるくるまわって、髪は一足遅れて流れ、両の手は誰かを迎えるため伸ばされる。
また昼間見た者とは別のウルフドッグがいた。
別の、冷徹な者、あたたかい笑顔の者、真剣で鋭い眼差しの者、さみしそうな者、美しい横顔。
今日はたくさんのウルフドッグを見た。
その中の一人がこちらを見た。
「これは帰霊祭で踊る舞なんだ」
先祖を迎え入れる祭日。今日は彼女にとって仲間と会える特別な日。
くるくるくるくる手を引き導く。みんなが迷わずやってこれるように。
月明かりに照らされる踊り子。あぁ綺麗だとソニックは思った。
誕生日の後話。祝ってくれる人がいるのは幸せなこと。
おめでとう誕生日。ありがとう生まれてきてくれて。
ええただのダジャレですよ!