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軍事緊張を高める陸自の南西地域配備

竹松駐屯地から宮古島へ移駐

 3月26日、「南西地域の防衛力の強化の一環」として、陸自宮古島駐屯地に新たにミサイル部隊などが配備されました。宮古島駐屯地は昨年3月に新設され、すでに宮古警備隊約380人が配備されています。今回のミサイル部隊の配備で駐屯地の隊員は約700人規模になりました。

 九州地区の防空を担うとされる第7高射特科群のミサイル部隊が配備されていた大村市の竹松駐屯地からは約200人が移駐しました。また艦船を攻撃できる対艦ミサイル部隊が配備されている熊本県の健軍駐屯地からは約140人が移駐しました。

 竹松から移駐したのは、第7高射特科群本部と第346高射中隊などです。その結果、残る部隊は第7高射特科群の群連絡班や2つの高射中隊など約200人と半分になりました。40世帯の家族も宮古島に移動すると報道されています。

 第346高射中隊はこの移駐のために2年前に編成された部隊で、これまでのホークミサイルに代わって「03式中距離地対空ミサイル」を装備しました。部隊は昨年9月29日~10月10日に米陸軍マクレガー射撃場でミサイルの実弾射撃訓練を行い、その運用能力を確認しています。(福岡県飯塚駐屯地からは昨年、第344高射中隊が奄美駐屯地に移駐しました。今後、第345高射中隊の石垣島駐屯地(仮称)へ移駐が予定されています。)

 また健軍駐屯地には日本で唯一「12式地対艦ミサイル」を装備した連隊が配備されており、第302地対艦ミサイル中隊が編成されて宮古島に移駐しました(昨年は第301中隊が奄美駐屯地に移駐し、今後、第303中隊の石垣島駐屯地への移駐が予定されています)。

 宮古島には両部隊が使用するミサイル発射台を搭載した車両も移動されましたが、ミサイルそのものは21年3月に島南東部の保良鉱山跡地に完成予定の弾薬庫が完成するまで運び込まれないといいます。 

 これは弾薬庫をめぐって、地元には「駐屯地内に置くのは弾薬庫ではなく、小銃などの保管庫」と説明したまま、中距離多目的ミサイル弾などを保管していたことが発覚し、謝罪の上でそれらを島外に撤去した経緯があるからと思われます。

 一方、同じ3月26日、陸自木更津駐屯地に、初のV22オスプレイの部隊となる「輸送航空隊」が暫定配備されました。現在、陸自オスプレイは2機が米国に留め置かれ、陸自隊員が渡米して訓練を行っており、6~7月頃に日本に運ばれるといいます。3年目を迎えた佐世保の水陸機動団は「護衛艦いせ」などとともにこのオスプレイを展開していくと思われます。

 「尖閣問題」を口実に中国を東シナ海に封じ込めるような動きはいたずらに緊張関係を高めるものでしかありません。

(2020年4月5日)