ホームニュース一覧2019

大増強される佐世保の強襲揚陸艦部隊

 4月26日、米海軍は佐世保基地に配備している強襲揚陸艦ワスプの同アメリカとの交代、佐世保基地へのドック型輸送揚陸艦ニューオリンズの新たな配備を発表した。これで揚陸艦は5隻体制となり、水陸両用作戦における航空戦力も大幅に増強されることになる。

 米海軍は「インド太平洋地域における安全保障環境に対応するために最も能力の高い艦艇の配備が必要」としており、中国への牽制の一環であることがうかがえる。防衛省は「これらの変更は、運用上の必要性に基づく米軍の兵力調整の一環として実施されるものであり、安全保障上の課題に適切に対応するために実施するものであることから、政府としても必要なもの」との見解を表明した。ワスプは米本土のノーフォークに母港を移し定期的なメンテナンスが行われる。

 昨年1月に佐世保に配備されたワスプは1989年に就役した現役最古参の米強襲揚陸艦だが、飛行甲板を耐熱性のものに貼り替えるなどの改修工事を行ってF-35Bの運用を可能にした。強襲揚陸艦がオスプレイに加えてF-35Bを運用することは、強力な打撃力を持つイージス駆逐艦や攻撃型原潜に頼らずとも、単独の航空戦力による「なぐり込み」が十分可能になったことを意味する。

 最初からF-35B運用を想定して設計された「アメリカ」は2014年10月に就役した最新鋭の強襲揚陸艦で、ワスプ級より排水量を1割大きくする一方で、LCACを搭載しない構造とした。そのために格納庫が広く燃料タンクも大きくなり、20機のF-35Bに加えてオスプレイや戦闘ヘリを収納/展開できる。より航空戦力の母艦機能が強化され、侵略性がいっそう高まることになる。

 これに加えて新たに配備される輸送揚陸艦ニューオリンズ(乗員360名)は、佐世保に配備されているグリーンベイと同型艦で、ステルス構造をもつ。オスプレイ2機とLCAC2隻を搭載できるため、「アメリカ」配備によるLCACの運用減を補うとともにオスプレイの新たなプラットホームとなる。また輸送揚陸艦は一般の揚陸艦の2倍の車両を収容でき、大量の物資・弾薬・ジェット燃料を搭載できる。佐世保に輸送揚陸艦が2隻配備されることで海兵上陸部隊の展開能力も大幅に強化される。

(2019年4月28日)