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玄海原発再稼働反対!

さようなら原発ナガサキ集会開かれる

  福島第一原発事故から7年が経つ3月11日、さようなら原発ナガサキ集会が開かれ、約300人が参加しました。以下は京大原子炉実験所の今中哲二さんの講演概要。

 福島原発事故で原子力ムラの多くの人たちはショックを受け、反省をした人がかなりいる。しかしいまはその反省を忘れた人がほとんど。「福島原発事故はちょっとまずかった。早くケリをつけてこれからはもうちょっとうまくやろう」という雰囲気。

 原発の問題点は熱の発生源が核分裂であること。たまる“死の灰”は1日3㎏で広島・長崎の原爆3個分相当。これは避けられない。核分裂のコントロールに失敗したのがチェルノブイリで、冷却に失敗したのがスリーマイルと福島。日本で原発を動かす前から事故の規模はとてつもないことになることはわかっていた。1960年の試算で被害額は1兆円。このときの国家予算が1.7兆円。当時の原子炉立地指針には「技術的見地から起こるとは考えられないような事故の発生を仮想しても、周辺に著しい放射能災害を与えないこと」とある。これに合致している原子炉はない。日本の原発は金と力でむりやり進めてきた。今の再稼働路線もこの延長にある。

 チェルノブイリ事故では福井県・京都府・大阪府の面積相当が法令で人が住めない地域となってしまった。事故が起きると周辺の人々が突然に家を追われ、村や町がなくなり地域社会が丸ごと消滅する。福島でも起こりつつある。人々にもたらされた災難の大きさを放射線測定器で測ることはできない。

 実は女川原発の方が東日本大震災の震源に近かった。女川は津波を考えて高台にしたのでぎりぎりセーフだった。福島は高台を削って低くしてしまった。福島原発事故は人災だ。内部からも10メートルを超える津波の警告はあったが握りつぶされた。高台に非常用発電機を設置するだけで防げた。

 避難指示解除には反対ではない。確かに放射能線量は下がっている。飯舘村の元の人口6000人のうち戻ったのは1割足らず、しかも年寄りばっかり。若い人はほとんど帰らない。帰らない人には補助を打ち切り、無理やり帰そうとする政策が問題。被災者がどのような選択をしようとも国や東電は支援する責任がある。

 原子力はべらぼうに金が流れる。利権が絡んでいる。福島の事故で浮き彫りにされたのは原子力ムラ。電力会社・霞が関・政治家がつるんで、そこに自治体、マスコミ、学者がぶら下がって原子力マネーをあやつって国際原子力ムラとも連係しながらギルドのような構造をつくっている。廃炉も原子力ムラのビジネスにされている。

 こんなに地震があるところに原発をつくったのが間違い。原発の再稼働を許すことは福島の事故の再来を覚悟すること。われわれにはそんな覚悟はない。始末できない高レベル廃棄物をこれ以上増やしてはいけない。福島の事故以降、節電も進み電力の需要が原発20基分減っている。事故が起きると周辺は住めなくなる。そこまでして電気を作る必要があるのか考えよう。

(2018年3月12日)