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福江島スパイ・レーダーは「戦争する国づくり」と一体

五島・三井楽基地調査&現地学習会

 12月21日、日本平和委員会全国理事の小泉親司さんが福江島を訪れ、三井楽町の空自福江島分屯基地にできた「地上電波測定装置」の調査を行いました。

 基地を取り囲むように幾重にも農道があるのですが、生い茂る木々が視界を遮り、近づきすぎると逆に見えなくなるというジレンマの中、目的のレーダーが間近に見えるポイントを探すのは一苦労でした。

 外観は宮古島のものと類似し、規模も同程度のようでした。電波を収集するレーダーが張り巡らされている窓のない多角形状の建物から考えて北東から北西にかけた270度の範囲をカバーできるものと思われます。

 午後から福江で学習会が開催されました。小泉さんは「地上電波測定装置」は(1)中国や北朝鮮の軍事情報を収集するスパイレーダーであり、(2)国民の携帯電話や航空機、船舶の交信なども収集する、「戦争する国づくり」と一体のものだと指摘しました。

 戦後、米国は日本全土にレーダー網を張り巡らせてソ連の通信を傍受。現行安保条約の発効時に施設を航空自衛隊に移管して、米軍の肩代わりをさせてきました。福江島のレーダーサイトが自衛隊に移管されたのは1959年6月でした。

 それを「地上電波」にまで拡張したのが今回のスパイ・レーダーで、福江島分屯基地には背振山・宮古島と同じく航空総隊作戦情報隊第4収集隊が新たに配備されます。その本部は米軍横田基地内に同居する空自横田基地にあり、情報は米軍に筒抜けと考えられます。小泉さんは宮古島分屯基地には収集隊の看板がなく、国民から隠されていると述べました。福江島も同様になるとみられます。

 また小泉さんは、日本が活動を本格化させることで中国や北朝鮮が対抗措置を取ってくのるは明白で、軍事的緊張を高める以外の何ものではないと指摘。そして南西諸島に「中国包囲網」のように自衛隊基地の設置・強化をはかる政府が自らの情報を「秘密法」で隠ぺいし、逆に国民や外国の“秘密”を収集するのは戦前に行われたことであり、「戦争する国づくり」と一体のものだと述べて、議論を呼びかけました。

(2014年12月22日)