今年4月23日、佐世保市長は地元関係10団体すべてが受け入れに同意したとして、前畑弾薬庫の機能を針尾島弾薬集積所に集約することに同意する文書を九州防衛局に提出していました。関係団体は3漁業(佐世保市、針尾、南部)、2連合町内会(江上地区、針尾地区)、5自治会(クレールの丘、東浜町1組、東浜町2組、十郎新町、西天神町)。
ところが5月13日、関係団体の1つである東浜1組自治会の合意手続きに問題があるとして、東浜町の住民団体が、佐世保市長に同意撤回を求めるよう申し入れました。
東浜1組自治会の「合意」は役員会が行なったアンケート結果に基づくものといいますが、要望書は以下のような問題点を指摘しています。
また要望書では、「これ以上の弾薬の集積は日常生活を送る上で著しい不安を将来する」もので移転は到底受け入れられないと述べています。また反対意見を聴取せずに移転に同意した佐世保市長に「強い不信感と不快感」を表明しています。
他の9団体でも、移転受入に対する地元の「合意」がどのようにされたのか疑念が募ります。
(2009年5月14日)
平成21年5月13日
朝長 佐世保市長 様
前畑弾薬庫の『針尾移転合意撤回』の要望について
我々は、『前畑弾薬庫の針尾集積所への移転合意』について、防衛施設局に対して下記の理由により撤回されることを要望いたします。
前畑弾薬庫の針尾集積所への移転については、到底受け入れられるものではないこと。
東浜1組自治会の移転受け入れ合意についても手続上に瑕疵があること。
市長との協議もなされないまま、市長が防衛施設局へ移転受入を報告したことについて、強い不快感および不信感をいただいていること。
以上により市長におかれましては、防衛施設局に対し移転受入合意の撤回を申し入れていただき、我々有志一同との協議を開催されるよう要望いたします。
1.市長に対する不信感および不快感について
2月15日に佐世保市漁協東浜支部との市長も参加された協議会が開催されました。そのとき、支部との協議ばかりではなく、自治会との協議会を市長参加での開催をされるよう要望しましたが、協議が開催されないまま、東浜町1組自治会より「前畑弾薬庫の針尾移転合意」の意向が表明された旨、新聞報道がなされ、またそれより2週間ほど後に市長が防衛施設局へ移転受入を報告した旨のラジオ放送がありました。
移転受入に対する反対意見があることは、一昨年来の自治会への説明会において判っておられたはずです。それにも拘らず、反対意見を聴取せずに移転合意を防衛施設局へ報告されたことについて、強い不信感と不快感を表明します。
2.自治会の移転受入合意についての手続上の瑕疵について
東浜町1組自治会では2月15日以降において、役員会より臨時総会等の開催はおろか、なんらの説明もなく、いきなり3月1日に役員会の移転受入表明に対する「支持」「不支持」のアンケートを世帯主にだけ配付し、「住所・氏名(捺印)」を署名させて回収するということを、行っております。なお、当該アンケートの文案については、当事者である基地政策課と自治会役員との共同作業であることが判明しております。さらにアンケートの回収者に「住所・氏名(捺印)」を署名させたことについても、自由な意思表明を制限する行為であります。以上により、当該アンケートの有効性には重大な疑義が存在するといわざるを得ません。
当該アンケートの結果については、4月1日に市政だよりを配布する際に、回覧板により報告を行っております。当該報告書には、市長に対し移転受入の表明を行う旨の報告はなされておりませんことを付記しておきます。
自治会役員は、当該アンケートの結果を以って移転受入合意を市長に報告したものであり、当該報告については自治会全体の意見の集約であると判断することはできないことは明白であります。
また、4月29日に開催されました総会におきましても、当該案件につき、説明を求めたところ、一方的に閉会を宣言し、なんらの協議も行うことができませんでした。世帯主だけにアンケートを求めたことについても、「世帯主の意見は字家族全体の意見であるとみなす」という民主主義の根幹を否定する暴論を開陳しております。
3.移転受入の拒否について
現在、東浜町の向い側の針尾地区においては針尾集積所の他に大崎鼻に自衛隊弾薬庫、また早岐瀬戸入口に金山弾薬庫があり、これ以上の弾薬の集積は日常生活を送る上で著しい不安を将来すると断言できるものであり、また、埋め立てによる汚染その他の被害についても、不安を抱いております。
我々は先祖代々この地区に住んでおり、これから先も子々孫々住み続けていきたいと思っております。移転は我々の思いを踏みにじるものであり、到底受け容れられるものではありません。市当局は東浜町の住民も佐世保市民であるとお思いであれば、市民の安全を第一に考えるべきだと思います。
前畑弾薬庫の移転先が針尾集積所である必要性はなく、周辺に集落のない地区へ移転すればすむことだと考えております。
東浜町明るい町づくり促進委員会