1月8日、米海軍佐世保基地は昨年12月に起きた、車の窃盗・ひき逃げ事件の容疑者として、強襲揚陸艦エセックスの男性乗組員(上等水兵;21歳)の身柄を佐世保署に引き渡したと発表しました。
これが事実であれば大きな前進です。日米地位協定の運用に関する現在の合意では、起訴前の米兵の身柄を「好意的配慮」で日本に引き渡すのは、殺人などに凶悪犯に限られているからです。
案の定、翌9日、佐世保基地は「容疑者を8日午後に佐世保署で事情聴取を受けさせたが、エセックスに戻し、身柄を引き渡した事実はなかった」として謝罪し、発表の訂正を行ないました。報道部の担当官が地位協定の運用について十分な理解をしていなかった(むしろ常識的だった?)と見られています。
事件は昨年12月7日午前5時過ぎに起こりました。盗難通報のあった軽自動車を佐世保署員が佐世保基地近くで発見し、職務質問中に車は逃走。そのときに署員が転倒して軽傷を負いました。犯人は300メートル離れた米軍住宅地区に逃げ込みました。
1月9日、佐世保署は米兵から任意で事情聴取していることを明らかにし、道路交通法違反(ひき逃げ)などの容疑が固まり次第、長崎地検佐世保支部に送検する方針です。水兵は事情聴取以外は、米側が揚陸艦から離艦できないようにしているといいます。
佐世保市では昨年末にも揚陸艦デンバー乗組員が道路交通法違反(酒気帯び運転、ひき逃げ)などの罪で逮捕され、他にも米兵2人が実弾3300発を不法投棄した疑いで書類送検(不起訴)されるなど、米兵が絡んだ事件が多発しています。
(2009年1月10日)