このはなさくや図鑑 〜美しい日本の桜〜

桜の名所と銘木あれこれ−サイト管理者の旅日記

桜の誕生した場所、残されてきた歴史、桜に携わった人々。
そこを訪ねれば、その桜がもっと愛おしくなるものです。

南の島に咲く、正体不明の桜
 (沖縄県久米島)

ここは沖縄県久米島

平成17年(2005年)、久米島の宇江城山頂で
海洋博覧会記念公園管理財団熱帯・亜熱帯都市緑化植物園と
琉球大学などとの研究で、日本のどの桜にも属さない、
大陸由来の桜が発見されたとの報道を見ました。

クメノサクラと名付けられた桜・・・
これは、見なければと、一路南の島へ向かいました。

琉球王朝時代に中国との交易の中継地であった
久米島の歴史を偲ばせる浪漫あふれる桜です。
久米島は、沖縄本島から西に約100km、面積は59.53km2です。
ダイビング地として有名で、はての浜(写真)はダイビングのメッカです。
また、東北楽天ゴールデンイーグルスが
この島にキャンプを構えたことでも知られています。
クメノサクラが自生している宇江城山頂
(島の最高峰、標高は310.4m)です。
宇江城からは島内が一望できます。
訪問当時、山頂付近には数本しかありませんでした。
現在一部は移植され、増殖株は本当の本部町などでも植栽
されています。
台湾や沖縄で見られる赤いカンヒザクラとは違い、純白での桜です。
お会いした同地の自然環境に詳しい、保久村氏によると、
クメノサクラは、古くからの文献にも見られ、
支配階級の家で植えられていたようです。
(シロアリが住み着くので植えない場合もある)そういったことから、
大航海時代、中国から渡来したものではないかとの
興味深いお話をお聞きしました。
保久村さんありがとうございました。
彼岸の頃咲くのでヒガンザクラと呼ばれていたそうです。
また、過去久米島では雪が降った記録
(通常沖縄本島より気温が低い)もあるとのことでした。
そういった年の春はきっと美しく咲いたことでしょう。

島内は貴重な自然が残され、桜以外もしっかり勉強しました。
この椿は久米紅です。
ガジュマルの気根です。
同地は、亜熱帯の気候であり、クメノサクラにとっては大変過酷な
環境であろうと推察されました。
一気に咲くことなく、開花後半期には花と葉と果実が同時にあり、
元々は、この桜は低温要求が高い証拠であると見て取れました。

クメノサクラは、当初、起源が分からない桜でしたが、
平成26年(2014年)以降は、最近のDNA検査の結果から、
ツクシザクラに近縁であることが判りました。
Cerasus jamasakura var. chikusiensis ‘Kume’

この桜をもう少し知りたい方は、下記より桜図鑑をご覧下さい。
 
 クメノサクラ
 
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文・撮影:藤原 このはなさくや図鑑
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